夢の裏側

アオイは、青の空に浮かぶ広大な幻想の島、ルミナスに住んでいた。その日も彼女は、陽射しの中で笑いながら友達と遊んでいた。彼女は周圍の大人たちから愛される無邪気な少女だ。一見、何の不安も抱えない笑顔を浮かべているアオイだが、実は彼女には特別な能力があった。

その能力は夢の中で「夢の国」へと旅することができるというものだった。夜になると、アオイは目を閉じるとすぐに異なる世界へと入っていく。夢の国では色とりどりのキャラクターや精霊たちが登場し、彼女を優しく迎えてくれる。

ある晩、アオイは夢の国で美しい森の中を歩いていた。そのとき、光の中から現れたのが、精霊のセリスだった。彼女は優雅な動きでアオイに近づき、言った。「アオイ、私と一緒に来て。特別な場所があるの。あなたに見せたいものがあるのです。」

夢中になっていたアオイは、セリスについて行くことにした。二人は一緒に楽しい時間を過ごし、次第にセリスはアオイを禁じられた場所に導いていく。そこは美しい花々が咲き乱れ、しかしどこか異様な雰囲気を漂わせていた。

「ここには秘密が隠されているの」とセリスは言った。「未来がかかっている場所だから、決してここから出てはいけない。」アオイは無邪気に笑い、「どうして出ていかなきゃいけないの?私はここが好きだわ!」と答えた。

しかし、セリスの目には不安の色が浮かんでいた。「あなたが夢の国に来ると、現実の世界に影響が出るのよ。あなたの無邪気な遊びは、周囲の人々に恐怖をもたらすかもしれない。」

アオイはそれを理解できず、ただただ微笑み返すばかりだった。夢の国での遊びの時間は、アオイにとって最も楽しい瞬間だった。そんなある日、彼女はふと目が覚め、現実の世界に戻ってきた。

日常が再開され、彼女はあたりを見渡した。しかし、周囲の友達、親たちの表情がどこか暗い。アオイは気にすることもなく、いつも通りに笑顔で遊び続けようとした。しかし、次第に大人たちの話から恐ろしい言葉を耳にする。

「最近、子供たちが夢の中で何かを見たと話している。一体何が起こっているのだろうか?」

アオイの無邪気な遊びが引き起こす影響を、彼女は知る由も無かった。しかし、運命の夜、アオイは再び夢の国に顔を出すことを決意した。彼女は誰もが恐れ避ける場所へと足を踏み入れた。

光が満ち、異様な感覚が身体を包み込む。セリスは再びアオイの前に現れる。「アオイ、あなたの選択が結果を引き起こしていることが分かる?あなたの無邪気な心が、こうも多くの苦しみを運んでいるのよ。」

アオイは笑顔を崩さずに、「わからない!私が何か悪いことなんてしてないわ!」と抗議した。だが、心の奥では少しずつ見えない絆がほころんでいくのを感じていた。

現実世界では、アオイの友達が一人、また一人と姿を消していく。彼らは、アオイが持つ夢の力の影響を受けて苦しみ続けていた。大人たちは真剣な眼差しでアオイを見つめ、「彼女が何かしているのかもしれない」と疑念を抱く。

その夜、アオイはついに夢の国で大切な仲間たちに出会うことができた。しかし、その仲間たちは消えかけていて、不安と苦しみの表情を浮かべていた。「アオイ、助けて…私たちを忘れないで…」

彼女の心が震える。無邪気な笑顔が消え、この状況を理解し始めていたからだ。度重なる選択の先に待っているのは、友達との別れだった。

運命の夜が明ける頃、アオイは自らの選択が果たされたことを知る。実際に見たもの、感じたものが、彼女に現実を突きつけた。「私は、夢の国を選ぶことにするの…」彼女の声は震えていた。さらなる孤独と悲しみが彼女を包み込む。

アオイは、その選択の結果、最愛の仲間たちを失い、一人だけになってしまった。冷たい風が吹きすさぶルミナスの島で、彼女はただ一人、遊びたかった夢を見ながら涙を流した。夢の国は、現実の重さから逃れるための場所ではなく、むしろ彼女に深い悲劇をもたらしたのだった。これからの彼女には、誰もが知る悲劇の背後の影が続いていくのだ。

涙を流しながら、アオイは虚無感に包まれた。夢の国は約束された楽園のように思えたが、そこには彼女が背負った運命が待ち受けていた。彼女の選択の重みを認識したとき、アオイはただ孤独と悲しさを抱えることに。運命が交差し、消えてしまった愛する仲間たちへの思いを胸に、彼女はルミナスの島でたったひとり、冷たい風に吹かれている。

彼女の姿は、この世界に暗い影を落としている。夢の裏側での出来事は、彼女の無邪気さが抱える悲劇を象徴していた。壮絶な運命が、無邪気な少女に待ち受けていたのである。

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