田舎町に住む少女、さゆりはその年齢にしては異常なほど真面目で、常に責任感に満ちていた。学校では成績も一番で、周囲からの期待も高い。彼女の日常は静かで、まさに秩序そのもの。その日、いつもと変わらぬ朝を迎えたさゆりは、新しいことが起こる気配にまったく気付いていなかった。
しかし、その日常は突如として壊される。「あはは！さあ、楽しもう！」という笑い声がさゆりの耳に響いた。軽やかな黒いドレスをまとった怪しげな魔女、グリモワールが登場したのだ。魔女はいつも陽気で、悪戯心全開の笑顔を浮かべていた。彼女は人々に笑いをもたらそうと、次々と奇妙な魔法をかけていく。
初めの頃、さゆりは困惑した。グリモワールがさゆりの飼い猫に魔法をかけた結果、猫が高らかに歌い出したのだ。「にゃあ、にゃあ、歌いたいにゃあ！」と、猫は見事な音程で歌い上げる。近所の子供たちは大喜びし、さゆりは恥ずかしさを押し殺して急いで猫を捕まえようとした。しかし、彼女の周りには笑い声が絶えなかった。
さゆりは「もう、やめてよ！」と叫んだが、グリモワールはただ笑って返す。「真面目すぎると、人生から楽しいことが消えちゃうよ！」
空からお菓子が降ってくる日も、試験の日に全校生徒がふざけた服装で登校する事件も、すべてがグリモワールの仕業だった。最初は困っているさゆりだったが、毎日の出来事がもたらす笑いの連鎖に、次第に彼女の心も動き始めた。その楽しさに気づくのは、ふとした瞬間だった。
ある日の放課後、さゆりは一人で帰ろうとするとポケットから飴の包みが落ちた。グリモワールが誘導した結果、誰もが笑顔になれるような驚きが待ち受けていた。その瞬間、さゆりは心の奥深くにある「楽しいことを思いっきり楽しみたい」という欲求に気づいた。
「もしかしたら、私も一緒に楽しんでもいいのかな？」と、少しずつ変わり始めたさゆり。彼女はグリモワールの魔法の影響を受け、次第に自分の心を解放していく。
物語はクライマックスへと向かう。町で行われるお祭りが近づいてきて、さゆりとグリモワールは協力して準備を進めることになった。グリモワールの魔法は、ありえないようなお祭りを実現しようとしていた。彼女は無邪気にこう言った。「お祭りでみんなの心を楽しくさせるために、もっと面白いことをしよう！」
「例えば、空飛ぶ屋台や、笑い声が絶えないフィナーレ演出とか！」
最初は戸惑っていたさゆりも、グリモワールの熱意に触発されて少しずつ、今まで思いつかなかったアイデアが浮かんできた。町の人々が笑顔になれるような、楽しいお祭りを作り上げるために、二人はたくさんの時間を過ごした。
お祭り当日、町には笑顔があふれた。さゆりは自らも楽しむことを決意し、グリモワールと一緒に街の中心でダンスを踊った。さあ、祭りが始まる！
「みんな、もっと笑おう！」とグリモワールが叫ぶと、さゆりも心を開いて声を合わせた。「もっと笑おう！」
そして、見る人々の目には、二人の真剣さと楽しさが見えたお祭りは、町中に笑い声を響かせ、不思議な魔法をかけたように記憶に残ることとなった。
お祭りが大成功に終わると、町はいつも以上に賑わい、さゆりは自分がこの瞬間を作り上げたことを誇らしく思った。
彼女は自分の真面目さだけでなく、人生を楽しむことの大切さを学び、心の底から幸せを感じた。
グリモワールと共に過ごした時間は、真面目な少女であるさゆりにとって、最高の宝物となった。
今では、彼女も街の人々と一緒に笑い、共に楽しい日々を送ることができるようになっていた。
そして今、彼女はこう思う。
「笑うことはすばらしい。真面目さだけでは、すべてを理解することはできない。 lifeは一度きりだから、もっと楽しんでいいんだ！」
さゆりが心から笑ったその瞬間、町は新たな活気を帯びていく。
その後、さゆりとグリモワールはかけがえのない友達として、いつまでも笑い合いながら、楽しい冒険を続けるのであった。
