おかしな魔法の国

ユリはいつも元気いっぱいの女の子。春のある日、彼女は庭で古びた本を見つけた。
その本はうっすらと埃をかぶっていて、表紙には「笑いの魔法」と書かれていた。好奇心旺盛なユリは、すぐにその本を開いてみることにした。

すると、ページをめくった瞬間、周りの景色が急に歪み始め、光に包まれていく。次の瞬間、ユリは全く知らない世界に立っていた。目の前に広がっているのは、色とりどりの風船のような空と、踊り続ける木々、さらにしゃべるお菓子たち!

「やあ、ようこそおかしな魔法の国へ!」ひとしきり木の下で踊っていたチョコレートの木が言った。
「君は笑いの力を解き放つために来たのだろう?」

ユリは驚きながらも、自分の耳を疑った。どうやら、この国では笑いが失われてしまっているらしい。村人たちはみんなシリアスな顔をしていて、ユリはその様子を見て少し悲しくなった。

「私がこの国を笑わせる方法を見つける!」ユリは強く心に決めた。

ユリはすぐに、カメの「カメカメ」と友達になった。カメカメは、空を飛ぶことができる不思議なカメで、彼女に様々なおかしな冒険を提案してくれた。
「まずは、みんなを巻き込む大笑い祭りを企画しよう!」カメカメは目を輝かせて言った。

最初、ユリは盛大な笑いを引き出すために色々なことを試みた。ドジを踏むことから始まった。

まずは歩きながらお菓子の国の特産品、キラキラキャンディを持ち運んでみた。しかし、彼女はまるで風船のように目がまわり、バランスを崩してその場に転んでしまった。「痛たた…!」と思った瞬間、周りにいた小さなクッキーたちが大笑いしてくれた!

次に、ユリは面白い歌を歌うことにした。「クッキーを食べると、うわ〜!みんな笑っちゃうよ〜♪」と元気よく歌った。
すると、木々がリズムに合わせて揺れ、カメカメがその場で踊り始めた。「もっともっと!」と、村人たちも楽しそうに笑い出した。

そうやって少しずつ、村人たちの心を開いていく。

そして、ユリは踊りで笑いを誘うことにした。驚異的な動きのカメカメと一緒に、彼女は自由に踊りながら笑いの渦を巻き起こしていく。
まるで、ユリの動き一つ一つが、この国に活気をもたらす魔法のようだった。

村の広場で「大笑い祭り」を開催する日がやって来た。みんなが集まってきて、少しずつ笑顔を取り戻してきた様子が見て取れた。
ユリはまず、村人たちにおかしな衣装を着てもらったり、変なメイクを施したりした。「さあ、みんな、笑う準備はできた?」

そして、いよいよ祭りが始まる。カメカメがリードして、ユリは続く。「みんな、笑って!」「もっともっと!」
すると、声をあげて笑う村人たちに囲まれて、ユリは一段とテンションが上がっていった。

最初は静かだった村の広場も、次第に笑い声があふれ、まるで花が咲くように色とりどりの表情が戻ってきた。

「あ、見て!木々も笑って踊ってる!」ユリが叫ぶと、皆も参加した! 気がつくと、村全体が一つになって、皆で踊って笑っていた。

ユリの持っていた明るさが、村人たちを包み込み、あらゆる不安や悲しみを吹き飛ばしてくれた。
最後には、みんなが手をつないで踊り、笑い合った。
「やっぱり笑いが最高だね!」とユリが叫ぶと、皆の声が重なった。

その瞬間、不思議な光に包まれ、ユリはこの魔法の国の力で元の世界に戻ることができることを知った。

「私の冒険、ずっと忘れないから!」と、村の皆に手を振り、明るい顔で別れを告げた。
心に残る愉快な冒険の思い出とともに、ユリは笑顔で元の世界に戻った。

これからも、彼女は自分の小さな世界でも笑いの大切さを大事にし、誰かの心を温める陽だまりのようであって欲しいと思い、心に誓ったのだった。

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