かつて、日本のどこかに存在したという神秘的な島、つきがしま。ここでは魔法が人々の生活に根付いており、月の光が特別な力を持つと信じられていた。この島に住む澪（みお）は、ある特別な運命を背負った少女だった。
澪は15歳。彼女の両親は幼い頃に失われ、残された祖母と二人三脚の生活を送っていた。祖母はいつも優しい笑顔で澪を励まし、時には昔話をしながら彼女を育ててきた。だが、澪は内心、自分の存在意義や、家族の記憶に対する欠如に苦しんでいた。
ある満月の夜、澪は村の奥にひっそりと佇む古い神社に足を運んでいた。月明かりが神社を照らす中、彼女は一つの声を聞いた。「来て、助けてほしい。」その声は甘美でありながら、心底からの叫びのように響いた。
澪は恐れを抱きながら神社の奥へと進むと、そこには月の神、ルナが現れた。ルナは美しい銀色の髪をもつ女性の姿をしており、その目は澪の心の奥を見透かすようだった。「私の島は呪われている。このままでは月の光が消えてしまう。お前にはその呪いを解く力がある。」
澪は驚きのあまり言葉を失った。彼女は大した力などない普通の少女だと思っていたが、ルナは彼女に新たな運命を託けるように語りかけた。澪は内心の戸惑いを抱えながらも、村の人々が魔物に襲われ、恐怖にさらされている現実に気づき、決意を固めた。
旅の途中、澪は奇妙な仲間と出会うこととなる。最初は夜の闇を彷徨っていた猫の精霊タマだった。タマは勝気な性格で、物事を茶化すのが好きな小さな猫の姿をしている。澪が最初に出会った時、タマは彼女にこう言った。「君が月の神の使いになったからには、もっと自信を持って行動しなよ。」
その言葉は、澪にとって大きな励ましとなった。次に出会ったのは、元騎士のガルドだった。彼はかつて名の知れた騎士だったが、今は故郷を追われ、流浪の身となっていた。澪とタマの共闘を見た彼は、「君たちの力になろう」と心から申し出てくれた。
ルナの導きによって、三人は各地を渡り歩く中で、神社や伝説の遺跡を訪れ、数々の試練を乗り越えた。それは澪にとって、自分自身を見つけ出す旅でもあった。時折、彼女は小さな頃の家族との記憶を夢の中で見たり、嬉しさに包まれたりする。しかし、同時に、それらの記憶には苦しみや悲しみも伴った。
道中、澪たちは様々な魔物と戦った。魔物は恐ろしい姿をしており、彼女たちの前に立ちはだかる。しかし、澪はそのたびに、自身が何者であるかを思い出すかのように、力強く戦った。ガルドの剣の技とタマの不思議な魔法を駆使し、彼女たちは次第に暗闇を克服していった。
澪は少しずつ、月の光の力を実感していた。月の神であるルナと結びつくことで、様々な力が湧き上がってきたのだ。彼女は旅を通じて、信じられないほどの自己成長を遂げていった。自分が家族の一員だったことを思い出すと同時に、自分の持つ力をも実感できるようになった。
旅が続く中で、彼女は村の人々のために戦う理由が、単なる冒険や興奮よりもはるかに深いことに気づいていた。家族が残した記憶、村の仲間たちへの責任、そんなものが彼女を駆り立てていた。一方で、次第に澪は自分の選択が運命を変えることを自覚し始めていた。
物語はついにクライマックスに近づく。澪たちは呪われた聖なる神域に辿り着く。その場所は魔物が集う恐ろしい領域であり、そこには月の光を奪った元凶が待ち構えていた。彼女は、ルナの声を聞き、心の中で力を込め、仲間と共に最大限の力を発揮して戦った。
果たして、澪は魔物を打ち破り、月の光を取り戻すことができるのか。彼女の力は、仲間たちとの絆によって強化され、運命は少しずつ形を成していく。そして、澪が選ぶ運命は、月の運行をも大きく変えることになるだろう。