夜のバス停 – 第2話

夜空に浮かぶ満月が、バス停の周囲を幽玄な光で照らしていた。シュウはいつものようにユイを待っていたが、今宵の空気はいつもと異なる緊張感を帯びていた。彼女の足取りは重く、顔には明らかな不満の色が浮かんでいた。

「何かあったの?」シュウの問いかけに、ユイは鋭い目つきで応じた。「あなたみたいに、いつまでも夢を追いかけていられないの。現実っていうものがあるんだから。」

彼女の言葉は、シュウの長年抱えていた不安を突き刺した。彼もまた、夢を追い続けることのできなかった自分を責め始めた。ユイの反発は、シュウに自身の選択とその結果を再評価する機会を与えた。

「そうかもしれないけど、夢を見ることをやめてしまったら、それこそ本当に終わりだよ」とシュウは反論した。しかしユイは聞く耳を持たず、怒りに任せてシュウの言葉を遮った。

その夜は二人にとって、これまでのような心地よい共鳴ではなく、痛みを伴う衝突の時だった。ユイは自らの将来への不安をぶつけ、シュウは自らの過去の選択を疑い始めた。お互いの言葉が、一時的に関係を悪化させた。

しかし、この衝突があったからこそ、彼らはそれぞれにとっての成長への道を見いだした。ユイは自分の感情を素直に表現する強さを持っていた。一方、シュウはこれまでの人生を肯定し、未来への新たな一歩を踏み出す勇気を見つけ始めていた。

第1話 第2話

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