静かな村に住む少女、花音は母から受け継いだ美しい庭を大切に育てていました。彼女の優しさと愛情が注がれたその庭は、村の人々にとっても癒しの場所でした。しかし、その庭には触れてはならない「禁断の植物」がひっそりと存在していました。
村の人々は、その植物がもたらす悲劇を恐れていました。特に長老たちは、その存在について語ることすら避けていました。花音もその言い伝えを聞きながら育ったため、禁断の植物には無関心でい続けました。
ある日、花音は庭で手入れをしていると、旅人の一樹と出会います。一樹は風変わりな冒険者で、占い師から聞いた禁断の植物の力を求めてその村にやって来たのです。
彼は無邪気な笑顔で花音に話しかけ、彼女の優しさに触れると次第に心を開いていきました。
花音もまた、一樹の自由な発想に魅了され、友情を深めていくことになります。
一樹は花音に、その禁断の植物について話してほしいと頼みますが、花音はそれに応じることができませんでした。教えられた通り、その植物には危険が伴うことを知っていたからです。しかし、何も知らない一樹の目には、禁断の植物は神秘的な魅力を持った存在として映っていました。
ある晩、月明かりの下、一樹は花音を庭に連れ出します。「あなたの育てている庭をもっと知りたい」と言いながら、彼は彼女に近づきました。花音はそんな一樹の熱意に少し戸惑いながらも、彼の真剣さに心を打たれました。
その瞬間、彼らの間に流れる、かすかな緊張感が描かれることになります。
数日後、一樹は夜中に忍び込んで、禁断の植物を探し出しました。しかし、彼の行動は花音の優しい心とは裏腹に、禁断の植物の力を利用しようとする欲望に引き込まれることになります。
その植物は、力を与えるが、それと同時に命を奪ってしまう恐ろしい存在でした。しかし、一樹はその恐ろしさを知らず、その力に取り憑かれてしまうのです。
花音は彼が禁断の植物に興味を持っていることに気づきます。「触れてはいけない」と必死で止めようとする彼女の声は、一樹の心には響きませんでした。
物語が進むうちに、花音は一樹が危険な選択をしていることを理解し始めます。
村を守るため、花音は彼への思いを胸に秘めたまま、禁断の植物を封じ込めようと奮闘します。
だが、彼の心を支えるために彼女が放った一言が、逆に状況を悪化させることになってしまいました。
一樹はその愛情に甘え、禁断の植物の力を持つ獣のように変わっていくのです。彼の目には生気が宿らず、禁断の植物が彼を飲み込むことに花音は痛みを感じます。
やがて、一樹は禁断の植物の力を使い始め、その影響は村全体、さらには花音まで巻き込んでしまうことになりました。村は次第に恐怖に包まれ、花音は自らの心が押し潰されそうになるのも耳を貸さず、ただ一樹を思い続けました。
封じ込めようと必死に努力する花音も、体力を超えることはできず、そしてついに彼女の心に別れを告げるかのように、自らの強い意志を持つはずの一樹までもが悪魔となって現れました。
村は次々と災厄に襲われ、人々の恐れは一層強まり、ついに一樹の行動が引き起こした悲劇が次々と襲い掛かります。
花音も耐えかね、彼女の心の中にある力が次第に薄れていくのを感じるようになります。
彼女は一人、暗い庭に立ち尽くしています。荒れた庭にひるがえる植物たちが、まるで彼女の長い旅の代償を嘲笑っているかのようです。リアルな進行が高度な恐怖を備えた彼女の心を打ち、未来への希望が完全に消えてしまった瞬間でもありました。
彼女は、お気に入りの花を抱きしめて泣く他ありませんでした。
その涙は禁断の植物によってもたらされたものだったのでしょうか、すべてを奪ってしまった彼女の優しさへの後悔に突き動かされていたのでしょうか。
そして、彼女の前で夢見た美しい庭は、もはや存在しなかったのです。
心の奥底に潜む不安と痛み、喜びはあの禁断の植物と共に消え去り、花音はただ立ち尽くしたまま、孤独に泣くことでしか、その悲劇を受け入れることができませんでした。
物語は、こうして暗い結末を迎えることになったのです。
花音の幸せは、その禁断の植物の力と共に、すべて奪われてしまいました。
