氷の王国の謎 – 第1話

序章:「祖父の遺した謎」

冒険とは、知られざる土地への旅、未知のものを求める行為である。だが、エリカにとって、冒険は家族の歴史と、失われた過去を追い求めるものであった。

子供の頃、エリカの最も楽しみな時間は、祖父の話を聞くことだった。夜が深まると、彼女は祖父の膝元で、遠い北の土地、氷に閉ざされた王国の伝説に耳を傾けた。その王国は、どこまでも白く、美しい氷の壁に囲まれ、誰もがその存在を信じがたい幻のような場所とされていた。しかし、その中心には永遠の命を授けるという神秘的な水晶が眠っていると言われていた。

祖父の物語は、ただの作り話ではなかった。彼はかつて有名な冒険家として、多くの探検を行っていた。そして、彼の人生の目標とも言えるのが、その「氷の王国」を実際に見つけることであった。彼は多くの仲間とともに、数回にわたる北極探検を繰り返し、王国の手掛かりを求めた。



しかしある日、祖父は大探検から帰らなかった。探検隊の中で彼だけが行方不明となり、どれほどの捜索が行われても彼の姿は見つからなかった。時は流れ、多くの人々は彼を死んだと考えるようになったが、エリカの心の中では、祖父は氷の王国で何か重要な発見をしたのではないかという想いが強まっていった。

成長したエリカは祖父の探検の記録を丹念に調べ上げた。彼の記録の中には、王国への手掛かりや、その探検で得た知識、さらには彼の仲間たちとの交流などが詳細に綴られていた。彼女は祖父が残した地図や手紙を手に、自らの冒険を始める決意を固める。

エリカの胸には熱い思いが湧き上がってきた。「祖父が探し求めていた場所、それが私の探し求める場所だ。私は、彼がどこで何を見つけ、何を感じたのか知りたい。」彼女の冒険の旅が、そうして始まるのであった。

タイトルとURLをコピーしました