エピソード1: “黄金の起源”
繁栄の大地、ダリス。その景観は豊かな自然と先端技術が共存する現代のパラダイスを思わせる。一面に広がる森林と山脈は、ここがかつて無人の大地であったことを思い起こさせる。それらの自然環境の間には、高層ビル群、巨大な橋、先進的な工場が広がり、その間を最新の交通システムが縦横無尽に駆け巡る。これこそが、独裁者エヴァロスによって創り上げられた現代のダリスだ。
エヴァロスは若き日にクーデターを成功させ、力を手に入れた男だ。彼は若干20代で政治の頂点に立ち、ダリスを繁栄の道へと導いた。その知識と先見の明により、彼は豊かな自然資源を用いて、ダリスの経済を劇的に成長させた。その手腕は彼を恐れる者たちにさえ敬意を表するほどで、彼が統治するダリスは、世界でも有数の経済国家となった。
エヴァロスは経済だけでなく、科学技術の分野でも革新を推進した。その結果、ダリスは情報科学、エネルギー技術、バイオテクノロジーなど、様々な分野で世界をリードする存在となった。その成果は国民の生活に直結し、平均寿命は延び、生活水準は上昇し、教育レベルも向上した。
しかし、エヴァロスの心には常に恐怖と疑念が存在した。彼は力を手に入れるために血を流し、命を奪ってきた。そのため、他者に対する疑念と恐怖は彼の心を離れることはなかった。彼は誰もが自分を裏切り、権力を奪おうとしていると思い込み、そのためにはどんな手段も使ってでも自分を守ろうと考えていた。
そして、彼の心にある疑念と恐怖は、政策にも影響を及ぼし始めた。彼は自身の安全と権力を保つために、監視体制の強化、思想の統制、反逆者の弾圧など、徐々に独裁的な手段に訴えるようになった。
この黄金の地ダリスの裏には、恐怖と疑念に満ちたエヴァロスの影が常に存在した。しかし、その独裁的な統治の影はまだ表面に現れていない。国民はまだエヴァロスを尊敬し、その統治を支持している。
だが、時間が経つにつれて、エヴァロスの統治がダリスとその国民にどのような影響を与えるのか、その影は徐々に表面に現れ始めるだろう。ダリスの繁栄の歴史はこれからも続くが、その裏に隠された恐怖と疑念の影が、やがて暴かれるときが来るのだ。
