最後のタイムスリップ
朝の陽光が柔らかく地を照らしていた。ユウジは老人とともに、再び明治時代へと足を踏み入れた。周りには馬車が往来し、洋風の建物が立ち並び、新しい時代の訪れを感じさせる風景が広がっていた。
「君が変えてしまった歴史、正確にはどの出来事だったんだ?」老人がユウジに問いかけた。
ユウジは深く息を吸い込み、「私が協力した技術が、悪い手に渡り、歴史が大きく変わってしまったようです。」と語った。
老人は考え込んだ後、「まずは、その技術を悪用する前の状況を確認しよう。」と提案した。
二人は、ユウジが手を貸してしまった技術者の工房を訪れることに。そこには、未完成の革命的な機械があり、それを完成させると、時代の流れが大きく変わってしまうことが予想された。
「この機械を完成させる前に、何らかの策を練らないと…。」ユウジは焦りを感じながらも、冷静に状況を判断し始めた。老人も彼をサポートし、二人で策略を練ることに。
何日もの間、二人は工房に隠れ、機械の構造や動作原理を研究した。そして、その機械を安全に使える方法や、悪用を防ぐための手段を見つけ出すことに成功した。
ユウジは、技術者たちと協力し、新しい技術の正しい使い方や、その価値を伝えることに尽力した。そして、彼の誠実な姿勢や知識が評価され、明治時代の日本の発展に大きく貢献することとなった。
タイムスリッパを履いて、現代へと帰還したユウジは、自分の行動が歴史を正すことに繋がったことに安堵した。そして、彼は心の中で決意した。
「もう、タイムスリップはしない。」彼はスリッパを手に取り、大切に箱に納めた。そして、彼の愛する靴修理の店の奥に、その箱をしまい込んだ。
ユウジは、時間を超えた冒険を経て、自分の居場所や価値を再認識した。そして、彼は再び、町の人々の笑顔を守るため、靴修理の仕事に打ち込むのだった。