ケンジの遊び仲間

ケンジは、30歳の普通のサラリーマンである。彼の性格はとても子供っぽく、何に対しても好奇心旺盛だ。周囲の人々を笑わせる才能があり、明るい笑顔を絶やさない彼は、職場でだけは真面目な表情を浮かべなければならない。毎朝、満員の電車に揺られて出社するケンジは、会社の厳しい空気に押しつぶされそうだ。”笑顔でいよう、笑顔でいよう”と自分に言い聞かせるが、心はいつも沈んでいた。

ある日、会社の忘年会が迫る中、ケンジは素晴らしいアイデアを思いついた。それは、彼の持ち味であるコメディの才能を活かして、会社の忘年会で自分がライブコメディをやってしまおうというものだった。”このひどい仕事のストレスを、笑いで吹き飛ばさなきゃ!”と特に楽しそうに思えるその計画に、彼は友人たちに声をかけてみることにした。

会社の同僚であるユウジやリサ、タカシを集め、”ケンジの遊び仲間”というコメディチームを結成することに。彼は友人たちに自分のアイデアを説明する。

「会社の忘年会をパーティーみたいにして、みんなを楽しませようよ! コメディやろうよ、コメディ!」

ユウジは「ああ、面白そうだけど、俺、ネタなんて思いつかないよ」と尻込みするが、ケンジは「大丈夫!みんなで協力すれば、そのうちアイデアが出る」と励ました。

リサも心配そうに「本当にできるの?」と聞く。「やるっきゃない!」とケンジは力強く答えた。

そして彼らは、段階を踏みながら準備を始めた。ネタ作りやコスチューム選び、リハーサルをする中で、様々なハプニングが起こる。例えば、衣装の一部が破けてしまったという事件や、コメディネタを考えている間にタカシが誤ってスピーカーを壊してしまう。この時ケンジは、子供のように笑いながら「大丈夫だよ、リサが壊したスピーカーを直してくれる!リサ、お願い!」と、仲間を励ます言葉が飛び出す。

忘年会が近づくにつれ、彼らの友情も深まっていった。毎日一緒に集まって、笑い合いながらネタを作る日々は、ケンジにとって何よりも楽しい時間だった。彼の無邪気な態度に、仲間たちも徐々に心を開いていく。少しずつ、普段は真面目な顔しか見せなかったリサも、彼の影響で屈託のない笑顔を見せ始めた。

その一方でも、仲間それぞれには個々の問題があった。ユウジは父親との関係が悪化し、タカシは心の病に苦しんでいた。だが、ケンジはそんなことに気付かず、「みんなが笑えば、きっと何か良いことあるって!」とアグレッシブに声をかける。その姿勢が逆にみんなを癒したのだ。

そして、忘年会当日。会場は居酒屋で、参加する社員たちの期待が高まる中で、いよいよケンジのチームの出番がやってきた。彼は手にしたマイクを握り、緊張した様子も見せずに笑顔で立ち上がる。

「みんなー!今日は来てくれてありがとう!今日はストレスを吹き飛ばしましょう、笑いを届けに来たよ!」

その直後、ケンジは準備していたネタを披露し始めた。幼少期の思い出や、普段の会社でのドタバタを絡めた漫才を繰り広げると、笑い声が飛び交う。特に、彼が同僚の上司の特徴を捉えたネタでは、社員たちが大爆笑する場面も。

次第に、周囲は笑いで包み込まれていく。 ケンジのコメディが会場を盛り上げるたびに、社員たちのストレスが解消されていく様子が見て取れた。

一方、上司も最初は厳しい表情で見ていたものの、次第に口元が緩み、笑顔がこぼれてくる。彼もまたケンジの飾らない無邪気さに触れ、心が解き放たれていった。

最後には、ケンジのパフォーマンスに全員が感謝の拍手を送り、あたたかい雰囲気が会場全体を包み込んだ。ケンジはその瞬間、これまで味わったことがないような達成感で胸がいっぱいになった。

忘年会が盛況のうちに幕を閉じると、上司が立ち上がり「素晴らしいパフォーマンスだった、ケンジ君。ありがとう」と温かい言葉をかけてくれた。それを受けて、社員たちは口々にケンジの名前を呼び、”みんなの癒し”、会社の名物キャラとして彼を称える。

こうして、ケンジの無邪気さがオフィスの雰囲気を一新し、笑顔あふれる職場へと変わっていく。彼は仲間たちやオフィス全体の絆を深めるきっかけになり、辛い毎日が笑いに満ちた日々へと変わっていったのだった。