ユウキは、図書館で見つけた古い本に触れた瞬間、目の前が真っ暗になった。気がつくと、彼は見知らぬ森の中にいた。どうやら、本に書かれていた異世界に召喚されたらしい。ユウキは、自分がどうなっているのか分からずにパニックに陥った。そんな彼を助けてくれたのは、鎧を身にまとった騎士だった。
「大丈夫ですか?あなたはどこから来たのですか?」
騎士は優しく声をかけてきた。彼はレオンと名乗り、王国の騎士団のリーダーだと言った。レオンは、ユウキを自分の馬に乗せて、王都へと連れて行った。ユウキは、レオンに自分の話をすることにした。レオンは、ユウキが異世界から来たことを信じてくれた。レオンは、ユウキに魔法の才能があることを見抜き、彼を自分の弟子にすることを提案した。
「あなたはこの世界で生きるために必要な力を身につける必要があります。私が教えます。私の弟子になりませんか?」
ユウキは、レオンの誘いに快く応じた。彼はレオンに感謝し、彼を尊敬するようになった。レオンは、ユウキに魔法と剣の使い方を教えながら、王国を脅かす邪悪な魔王軍と戦っていた。ユウキは、レオンや仲間たちと共に冒険を続けるうちに、この世界に慣れていった。しかし、ユウキは自分が召喚された本当の目的を知らないままだった。
実は、ユウキは伝説の勇者として召喚されたのだが、そのことは王国の秘密にされていた。王国では、勇者が現れるという予言が伝わっていた。しかし、勇者が現れるということは、魔王も現れるということだった。王国は、勇者を隠して魔王の出現を遅らせようとしたのだ。しかし、その計画は失敗した。魔王は勇者の存在を感じ取り、自ら姿を現した。魔王は王国へと侵攻し始めた。
「勇者よ、出て来い!お前がこの世界に来た理由を教えてやろう!」
魔王は大声で叫んだ。その声は全ての人々の耳に届いた。ユウキもその声を聞いた。彼は驚愕した。自分が勇者だということを初めて知ったのだ。
「私が…勇者?」
ユウキは信じられなかった。彼はレオンに尋ねた。
「レオン、私が勇者だって本当ですか?」
レオンは苦しそうに答えた。
「…本当です。私はあなたが勇者だと知っていました。でも、あなたに言えませんでした。王国の命令でした。ごめんなさい」
ユウキはレオンに怒った。
「なんで言わなかったんですか!私は何も知らないまま、この世界で戦ってきました!私はただ、元の世界に帰りたかっただけなんです!」
ユウキは涙を流した。彼はレオンを見ることができなかった。レオンはユウキを抱きしめた。
「ごめんなさい、ユウキ。私はあなたを守りたかっただけです。あなたが勇者だと知ったとき、私はあなたに惹かれました。あなたの優しさと勇気に。私はあなたを愛しています」
レオンはユウキに告白した。ユウキは驚いた。彼もレオンに惹かれていたが、レオンには既に婚約者がいることを知っていた。レオンの婚約者は王女だった。王国の平和のために結ばれた政略結婚だった。
「レオン、あなたは王女と婚約しているんですよね?私と一緒にいることはできません」
ユウキは悲しそうに言った。レオンは首を振った。
「王女との婚約は破棄しました。私はあなただけを愛しています。あなたと一緒にいることができます」
レオンはユウキに誓った。ユウキはレオンの言葉を信じた。彼はレオンに抱きついた。
「レオン、私もあなたを愛しています」
ユウキはレオンに返事した。二人は互いに口づけをした。その時、魔王の声が再び響いた。
「勇者よ、早く出て来い!お前と対決するぞ!」
魔王は怒り狂っていた。彼は勇者を待ちくたびれていた。ユウキとレオンは顔を見合わせた。二人は決意した。
「行きましょう、レオン」
「行きましょう、ユウキ」
二人は手を握り合って、魔王の元へと向かった。