竜の笛と消えた王都 – 第1章

ある日、エリオットは夢を見た。それは、輝かしい竜が彼の前に現れ、笛を探し出すよう告げるものだった。目が覚めた彼は、その夢が何か大きな意味を持つと感じた。竜の笛を巡る旅への第一歩を、彼は今、踏み出そうとしていた。

エリオットが住む村は、王都ラゼルの消失によって、かつての潤いを失っていた。市場には新鮮な果物や野菜が並ばず、井戸の水も以前ほど清らかではない。村人たちは心を病み、夜な夜な集まっては、失われた栄光の日々を懐かしむばかりだった。

しかし、エリオットだけが違った。彼には、ある種の確信と使命感があった。彼は、竜の笛の伝説が、ただの古い話ではないことを、心のどこかで感じ取っていた。そしてその夜、不思議な夢を見たことで、その感覚はより強い確信へと変わったのである。

夢の中で、エリオットは高い空を飛んでいた。金色に輝く巨大な竜が彼を背に乗せ、星々がちりばめられた夜空を滑るように飛び回る。竜は、彼の耳元で低くうなり、古代の言葉で語りかけてきた。言葉の意味は理解できなかったが、その声には、深い悲しみとともに、緊急の呼びかけが含まれていることを、エリオットは感じ取った。目が覚めたとき、彼は汗ばんだ額を押さえながら、何か重要なメッセージを受け取ったという感覚に包まれていた。

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