竜の笛と消えた王都 – 第2章

夢から覚めたエリオットの心は、混沌とした思いで満ち溢れていた。彼の胸の中で燃えるような使命感が、行動への熱意に変わりつつあった。夢の中で見た竜の姿は幻ではなく、彼にとっての現実と未来を指し示していた。その竜の啓示――「笛を探せ」の言葉が彼の運命を動かす。

彼は独り、小さな部屋に座り、今までの人生を振り返った。農夫としての日々、村での静かな生活、そして、母から聞いた竜の笛の伝説。全てが彼の中で繋がり、彼が選ばれた者であることを示していた。笛を探すことは、彼の内に秘められた使命であり、これからの彼の旅の目的であった。

しかし、冒険には多くの準備が必要である。エリオットは、今まで農夫として使っていた手先の器用さと、肉体的な強さを旅のために活かさなければならなかった。彼は、旅立つ前に身の回りの準備を始めた。食料の調達、旅路での着るべき衣服、そして何よりも、彼が信じる竜の笛を探す決意を新たにした。

エリオットは、母が残した古い箱を開けた。箱の中には、幼い頃に彼に読んで聞かせた竜の物語が記された本や、使い古された地図が収められていた。彼はこれらを手に取り、これからの旅で役立てようと考えた。竜の笛のヒントを得るためには、伝説を知り尽くし、隠された意味を解読しなければならない。

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