竜の笛と消えた王都 – 第2章

夜が更けるにつれ、エリオットの決意は固まっていった。彼は、夜明けとともに旅立つことを決心した。彼には、もはや留まる理由がなかった。王都ラゼルを取り戻し、竜の笛の力を解き放つ使命が、彼の前に待っていたのだ。

旅立ちの日、エリオットは農村の人々に別れを告げた。彼らは彼の決意を理解することはなかったが、彼らなりに彼を応援した。彼は、村の古老から託された古い本と地図を背負い、母の遺した毛布を身に纏い、新たな未来への一歩を踏み出した。

彼の旅は、ただの笛を探す旅ではなかった。それは、王都の謎を解き明かし、失われた歴史を取り戻す旅であり、また、竜と人間との絆を再び結ぶ旅でもあった。エリオットは、その道のりが険しくとも、自分の内に宿る強い意志と、夢で見た竜の姿を信じて進むことを誓った。

そして、エリオットは旅立った。遥かなる冒険への道を歩み始めた彼の背中には、夢で見た輝かしい竜が見守るように、静かに翼を広げていた。彼の足取りは軽やかで、心は未来への希望で満たされていた。彼がその時知らなかったのは、彼の旅が、ただの自分探しの旅ではなく、世界の運命を左右する壮大な冒険であることを。そしてその冒険が、彼自身を永遠に変えることになるという事実を。

第1章 第2章

タイトルとURLをコピーしました