第1話: 病の影
村の朝はいつもと違う静けさが漂っていた。カイが目覚めると、いつもの朝の賑わいではなく、どこか重苦しい空気が流れているのを感じ取った。彼が外に出ると、村人たちが小さな集まりを作り、心配そうに話をしていた。
「カイ、ちょうど良かった。ここに来てごらん」と、村の医者が彼を手招きした。医者の顔には深刻な表情が浮かんでいた。
「何が起こっているんですか?」カイが尋ねると、医者はため息をついて答えた。
「不思議な病が村に広がっているんだ。人々だけでなく、従魔たちにも症状が現れている。特に弱い者から倒れていく…」医者の声には無力感が滲んでいた。
カイは急いで自分の従魔たちの様子を見に行った。ミコと他の従魔たちは元気な様子を見せていたが、村中のこの異変には心を痛めていた。
「医者さん、どうにかならないんですか?」
「今は原因も対処法もわからない。ただ、森の深部にある特定の草が効くかもしれないという話はある。しかし、それが本当に効果があるのかも定かではない」と医者は答えた。