第一幕:前編|後編
第3話: 本の中の世界
ミリアが書庫の奥で見つけた一冊の古い本を手に取った瞬間、彼女の周りの世界がぼやけていき、気がつくと彼女は見知らぬ土地に立っていた。周りを見渡すと、荒れ果てた古城の中にいることがわかり、遠くには深い森が広がっていた。その場所は、彼女がこれまで見たどの本の描写とも異なる、まるで中世の風景を彷彿とさせるような世界だった。
「ここはどこなの?」ミリアが独り言のように呟くと、突然、背後から低い声が聞こえてきた。
「これは書かれた世界、そして私の監獄でもある。」
振り返ると、そこには重厚な鎧を身にまとった男が立っていた。彼の顔は荒々しいが、目には優しさが宿っている。彼はミリアに向かって一歩踏み出し、自己紹介をした。
「私はエディン。かつてはこの地を守る騎士だったが、今はこの本の中に閉じ込められてしまっている。」
ミリアは驚きながらも、彼に話を聞くことを決めた。二人は古城の廃墟を歩きながら話を続けた。
「なぜ、あなたはこの本に閉じ込められたのですか?」