学校最弱の俺は最強の悪魔の力を借りて最強に成り上がる – 第3話

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雄介の視界はぼやけ、冷たい石畳の感触が肌に伝わってくる。息が苦しい。胸の中で、何かが破壊された感覚が広がり、激しい痛みが全身を貫いた。彼は、自分の心臓が潰されたことを悟り、死の恐怖に包まれた。身体の自由を奪われ、目の前には冷酷な瞳を持つ悪魔が立ち尽くしている。その姿は雄介の命を奪うだけでは飽き足らず、さらなる恐怖を植え付けるかのように、ゆっくりと彼に近づいてきた。

「ここで終わるのか…俺は…」

雄介は、声に出すこともできずに、ただ心の中で呟いた。これまでの辛い日々がフラッシュバックし、彼の心に虚しさが広がる。誰にも愛されず、誰にも認められなかった人生。このまま、誰にも気づかれることなく消えていくのだろうと、諦めが彼を支配したその瞬間だった。

「お前…まだ死にたくないか?」

突然、耳元で低く、どこか不気味な声が響いた。驚いた雄介は、周りを見渡したが、誰もいない。だが、その声は確かに存在し、彼の心に直接語りかけてくるようだった。

「お前にはまだ、やり残したことがあるのではないか?」

その声は続けて問いかける。雄介は苦しさの中で、何とか応えようとしたが、声にならなかった。代わりに、彼の心の中で何かが反応した。確かに、まだ終わりたくないという強い思いが残っていた。家族に、妹に、そして自分を蔑んだ全ての人間に、何かを見せてやりたいという執念が。

「良いだろう…ならば契約だ。私はヘルゼウス。かつてこの地に封印された最強の悪魔だ。私の魂を受け入れれば、お前の命を救い、力を与えてやる。どうだ?」

ヘルゼウス…その名前を聞いた瞬間、雄介の心に何かが引っかかった。彼は幼い頃から聞かされていた伝説を思い出した。40年前、世界を滅ぼすほどの力を持つ悪魔が封印されたという話。もし、その悪魔が本当に目の前に存在し、自分に力を与えるというのなら…。

「そうだ。私は本物だ。そして今、お前に最後の機会を与えてやろう。私の力を受け入れるのだ」

雄介は迷った。悪魔と契約するということが何を意味するのか、漠然と理解していた。だが、今の状況で拒否すれば、確実に死が待っている。一方で、契約を受け入れれば、たとえ悪魔の力であろうとも、生き延びることができるかもしれない。

「どうする?時間はないぞ。決めるのだ」

ヘルゼウスの声は鋭く、雄介を急かす。彼は決断を迫られた。そして、彼の中で湧き上がる生への執着が、最後の一押しを与えた。

「…助けてくれ」

それが雄介の答えだった。彼のその言葉に、ヘルゼウスは満足げな笑みを浮かべたように感じた。次の瞬間、雄介の体に異変が起こった。全身が熱く燃え上がるような感覚に包まれ、心臓の痛みが急速に消えていく。逆に、力がみなぎり、視界が鮮明になった。

「これで良い…我が魂はお前に宿った。さあ、その力を使ってみせろ」

ヘルゼウスの声が再び響くと同時に、雄介の体が軽くなり、まるで自分が生まれ変わったかのように感じた。彼はゆっくりと立ち上がり、目の前の悪魔に向き直った。先ほどまで自分を圧倒していた存在が、今や恐ろしく感じられなくなっていた。

「どうした?さっさとかかってこいよ」

雄介は自然と口を開き、その言葉が出たことに自分でも驚いた。彼の中に、確かにヘルゼウスの力が宿っている。それは単なる肉体の力だけでなく、精神的な強さも与えていた。

悪魔は雄介の変化に気づいたのか、再び彼に襲いかかろうとした。だが、雄介は冷静にその動きを見極め、一歩も引かずに立ち向かった。

「これが…俺の新しい力か」

彼は手をかざし、無意識に魔法を発動した。すると、彼の手から強烈な光が放たれ、それが悪魔を包み込んだ。悪魔は一瞬で消し飛び、跡形もなく消滅した。

雄介はその光景を見つめ、自分が何をしたのか理解できないまま、その場に立ち尽くした。だが、彼の中には確かな自信と力が芽生えていた。そして、その力が何を意味するのかを徐々に理解し始めた。

「これで良い。お前にはまだやるべきことがある。私の力を使い、全てを変えてみせろ」

ヘルゼウスの声が再び響き、雄介はその言葉を胸に刻んだ。彼はもう以前の無力な少年ではなかった。新たに得た力を使い、彼はこれから何を成すべきかを考え始めた。

雄介は、まだ動揺が残る中で、ゆっくりとその場を後にした。彼の中で何かが変わり始めていた。そして、これから待ち受ける新たな運命に立ち向かう覚悟を決めた。今はまだ、何も見えない暗闇の中だが、その先に何があるのかを探し求めるために、彼は歩き出した。

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