第１話 第２話
鬼道雄介は、中学2年生にして孤独な日々を送っていた。彼は10歳の頃から魔法を発現するはずだったが、14歳になった今もなお、魔法の気配すら感じることができない。それが彼を、家族や同級生からの侮蔑と嘲笑の対象にしていた。
学校では、雄介に対するいじめが日常茶飯事だった。同級生たちは、魔法を使えない雄介を「無能」と呼び、彼をいじることで自分たちの優越感を満たしていた。特に、金森順一という少年は、その中心人物であり、雄介を徹底的に侮辱しては満足げな表情を浮かべていた。
「おい、鬼道！ また魔法が使えないんだって？ ほんとにお前、何のために生まれてきたんだ？」
金森がクスクスと笑いながら言うと、周りの取り巻きたちも一斉に笑い出す。雄介は俯いて、その場をただ耐え忍ぶことしかできなかった。彼は何度も反抗しようとしたが、何の力も持たない自分がどうにもならない現実に打ちのめされ、ただ沈黙するしかなかった。
家に帰っても、彼の心が安らぐことはなかった。両親は、雄介の妹である沙耶を溺愛していた。沙耶は幼少期から魔法の才能に恵まれ、音楽魔法という希少な能力を発現していた。それに対し、雄介は何の才能も示さず、家族の中で疎外される存在となっていた。
「また成績が落ちたの？ お兄ちゃん、いい加減にしてよ。恥ずかしいんだけど」
沙耶は冷たい目で兄を見下ろし、無言の圧力をかけてくる。両親もまた、雄介に対して失望の念を隠さず、食卓でも彼を無視するような態度を取っていた。雄介は、家の中でも孤独感に苛まれ、次第に心の中で静かに絶望を募らせていった。
