フローズン・マインド – 後編

前編 後編

それは突然の出来事だった。ヨシダの目の前に立ちはだかったのは、彼が探していた科学者の一人だった。しかし、彼の姿は彼が知っていた同僚とは全く異なり、見るからに精神的に不安定な様子を見せていた。

「ヨシダ、お前もここに……?」彼の声は悲しみと恐怖で震えていた。

その光景は、ヨシダの想像をはるかに超えていた。彼らが絶望と孤独に苛まれていたことは理解していた。しかし、彼が目の前に見たものは、それ以上の何かだった。彼らの精神は完全に破壊され、自己と現実の区別がつかなくなっていた。

ヨシダは彼を見つめ、慎重に言葉を選んだ。「大丈夫か?どこにいたんだ?他のみんなは?」

彼は空虚な目でヨシダを見つめた。「他のみんな?ああ、彼らはもう……僕らはもう……」彼の声は混乱し、言葉は途切れてしまった。



その後、彼は自分の研究室にヨシダを案内した。部屋の中は、壁に掛けられた未完成の研究結果や、壊れた実験装置で埋め尽くされていた。そして、部屋の一角には、彼の同僚たちの遺体が横たわっていた。

それは、彼らがこの厳しい環境と孤独によって精神を破壊され、絶望的な行動に走った証だった。ヨシダの頭はその現実を受け入れることができず、彼自身の精神もまた、脅威に晒されていた。

一方で、彼は自分がそこにいる理由を改めて思い出した。彼らの失踪の原因を探し、彼らの運命を解き明かすために。そして何よりも、彼らの魂を救うために。ヨシダは深呼吸をし、彼らの遺体に祈りを捧げた後、その場を後にした。

ヨシダは施設の内部を更に探索し、彼らの記録や研究成果を調査した。その中で、彼は彼らが何か未知の現象に遭遇していたことを発見した。それは彼らの精神を直接攻撃し、自我と現実感を奪った可能性があった。それが、「フローズン・マインド」の正体だとヨシダは理解した。