悠美は静かな山村で育った。
毎日、太陽が高く昇り、青い空の下で彼女は笑顔を絶やさない。
村人たちはそんな彼女の明るさに惹かれ、彼女を慕っていた。
特に親友の美沙とは、いつも一緒に遊び、笑い合っていた。
しかし、村には古い言い伝えがあった。
愛する者に対して特別な感情を抱くと、その者が呪われてしまうという恐ろしい伝説だ。
そんな話を信じる者は少なかったが、悠美は心の奥底でその恐れを感じていた。
ある日、村に異変が訪れる。
美沙が突然失踪したのだ。
周囲の人々は話し合い、捜索が始まるが、美沙の行方はまったく分からなかった。
悠美は心を痛め、彼女を取り戻すために全力を尽くすことを決意する。
翌日、村の長老に話を聞きに行く。
「美沙がどこにいるのか教えてくれ!」
悠美は必死に詰め寄った。
長老は厳しい目を向け、口を開いた。
「おまえの愛が、美沙を呪ったのだろう。」「おまえの優しさが、彼女を納めた闇に導いたのだ。」
悠美はショックを受け、言葉を失った。
愛情が呪いを生むなんて、そんなことがあってたまるか!
彼女は闇の中の愛の真実を求め、村の禁忌に触れていく。
夜が訪れると、悠美は村の外れにある古い神社へ向かう。
そこには、失われた愛を取り戻すための儀式が伝わっているという。
古びた本を手にして、悠美は儀式の詳細を読み進めた。
「愛の力を借り、運命の転機をもたらすべし。」
悠美は儀式を行うため、必要なものを集め始めた。
儀式用の花を摘み、月明かりの下でそれを捧げる。
そして、彼女は声を大にして呪文を唱えたが、何も起こらなかった。
彼女の心に不安が広がる。
村人たちの冷たい視線を思い返し、彼女は何度も試みたが、全てが虚しかった。
やがて、夜は深まり、彼女の心の奥から冷たい恐怖が忍び寄る。
「どうすれば、美沙を取り戻せるの?」
悠美は一人呟いた。
愛情を求めれば求めるほど、なんらかの力に引き寄せられて行く。
仮面の後ろに隠された感情が、彼女を悩ませ、村を恐ろしい闇に染めていったのだろうか。
時間が経つにつれ、彼女のポジティブな心は次第に不安で満たされていった。
夢の中でも美沙の声を聞く。
失踪した友人との幸せな日々を振り返り、彼女の笑顔が心の中で煌めく。
しかし、その束の間の安らぎも次第に暗闇に変わった。
やがて朝陽が昇り、無情にも悠美は目を覚ました。
彼女は美沙を取り戻す意思を強く持つが、村人たちの表情はますます冷たくなっていた。
「悠美のせいで美沙は…」
そんな噂が耳にはいり、村中に広がっていく。
失敗を重ね、心が折れかけるものの、悠美は美沙への愛情に賭け続ける。
だが、それは次第に彼女自身をも呪う結果となった。
ある晩、悠美は再び神社へ行く。
もう一度儀式を試みようと思った。
だが、今度はいつもとは異なる気配を感じた。
何かが彼女を待っていた。
そして、彼女は恐怖の真実に到達する。
美沙は彼女の無垢な愛すらも呪っていたのだ。
彼女の愛は闇を増幅させ、強力な呪いとなり、美沙の存在を浸食していた。
悠美の心にある愛は、彼女を根本から壊していく。
美沙を取り戻すことは次第に不可能になり、彼女自身が闇に引き込まれていった。
失われたものは、戻らない。
悠美の無邪気な笑顔は、村の暗い影に消えた。
その後、彼女は自らの愛情さえも呪い、村の闇の一部に変わり果てた。
誰も彼女の存在を思い出すことはなく、ただ伝説だけが語り継がれた。