静かな冬の山里、雪の中に佇む小さな村には、誰も知らなかった悲劇が横たわっていた。その村に住む真奈は、20歳の女子大学生でありながら、心理学の勉強に没頭する優秀な学生だった。彼女は冬休みに入り、長い間忘れ去られていた村の伝説に興味を持つようになった。
「雪が降り積もる頃、誰かが命を奪われ、最後の言葉が風に乗って舞い上がる」という噂だ。その言葉は真奈の心に強く響いていた。彼女はこの伝説の真相を解き明かすことで、何かが見えてくるのではないかと期待した。
山登りの当日、真奈は古びた登山道を踏みしめ、一歩一歩進んでいった。冬の冷気が肌を締め付けるが、彼女の内なる好奇心はそれを忘れさせてくれた。やがて古い小屋が視界に入ってきた。
小屋にはひび割れた窓と、朽ちた木材が使われていた。近づくと、開かれたドアがざわめく風と共に彼女を招き入れる。
小屋の中には、埃をかぶった家具とともに、物悲しげな日記が置かれていた。真奈はその日記を手に取り、ページをめくり始める。そこには村の過去の悲劇について綴られていた。何度も繰り返される雪の日、村人たちがどのように命を落としたのか、そしてそれがどのようにしてこの地に伝わる伝説となったのか。
読み進めるうちに、真奈の胸には恐怖が芽生えていった。彼女は悪夢に悩まされるようになり、常に誰かの視線を感じるようになった。
日々、彼女の頭の中には謎の声が響き、眠ることすらままならなかった。ある晩、彼女は夢の中で、深い山の奥から聞こえる囁きを耳にした。
「助けて。ここから出たい。」それは薄らぼんやりとした声で、どこか懐かしい響きを持っていた。
真奈は、それが村の伝説の人物だと感じた。さらに調査を進める彼女は、古い文献や村の先輩たちに尋ね、それぞれの証言を集めながら、ついに驚愕の事実に辿り着く。
彼女の家族と伝説が繋がっていたのだ。祖母が昔、数多くの村人の命を奪ってきた魔女と呼ばれていたこと。それは一つの運命の連鎖だった。勇気を振り絞った真奈は、祖母の残した遺品を見つけるため、再び山へ向かうことを決意する。
山道を登るごとに、彼女の心は不安でいっぱいになっていった。過去を知ることが、真奈自身にどのような影響を及ぼすのか、考える余裕もなかった。やがて小屋に戻った彼女は、万が一の事を考え、その日記を深く読み込むことにした。
日記の中には、彼女に向けられた言葉が記されていた。それは、彼女が今まさに追求している秘密を知りたくても知れないとする心の葛藤を感じさせた。初めて、真奈は自分が単なる観察者ではないことに気づいた。彼女自身がこの物語の一部であり、運命を問わないわけにはいかないのだ。
真奈は、脳裏に焼き付く数々の夢の中の声が、彼女自身の内なる声であることに気づく。過去の悲劇は彼女自身の因子でもあり、彼女はそれを解決するために、全ての勇気を持って立ち向かう決心をした。彼女の周りにある霧が深くなるにつれ、この先に待つ真実の重みを感じ、心臓が高まりる。
霧の晴れた夜、彼女は最期の選択を迫られる。もしも真実を知ってしまったら、自分の人生を変えてしまう可能性がある。だが、彼女の心が求めるのは、ただひたすらに真実であった。
その瞬間、彼女は驚くべき真実に直面する。雪降る夜の静けさの中、彼女は自身の家族の因縁と向き合い、人の命の重みを実感することになる。最後の選択が、彼女の運命をどこへ導くのか、それは次の雪が降るまで、誰にもわからないことだった。
