血の雨

主人公は、夢から覚めた。目覚まし時計を見ると、午前2時を回っていた。主人公は、眠気をこらえてベッドから起き上がった。水を飲みに台所に向かおうとしたとき、頭上からポタポタと音がした。主人公は、天井を見上げた。そこには、信じられない光景が広がっていた。

天井には、何者かに惨殺された家族の姿があった。父親、母親、妹、そして犬までが、血まみれになって天井に貼り付けられていた。その死体から血が滴り落ちて、主人公の頭や肩にかかった。それがポタポタという音の正体だった。

主人公は、恐怖と悲しみで声も出なかった。ただ呆然と立ち尽くしていた。そのとき、階下から足音が聞こえた。誰かが階段を上がってくる気配だった。主人公は、慌ててベッドの下に隠れた。ドアの鍵をかける余裕もなかった。

ドアが開いた。主人公は息を殺して身動きできなかった。その何者かが部屋に入ってきた。主人公はベッドの下からその姿を見ることはできなかったが、声は聞こえた。

「おお、やっぱりここにいるんだね」

その声に主人公は驚愕した。それは主人公の知っている声だった。主人公の親友であるAだった。

「どうして?どうしてこんなことをするの?」

主人公は思わず口走った。Aは笑い声をあげた。

「どうしてって?お前に恨みを持っているからさ」

Aは言った。

「お前は知らないだろうけど、お前は俺の恋人と浮気していたんだよ。俺はそれを知っていたんだ。でも、お前に直接言うのではなくて、こんな風に復讐することにしたんだ」

Aは言いながら、ナイフを持ってベッドの下に覗き込んだ。

「お前の家族を殺したのも俺だし、自分も死んだふりをしてお前をおびき寄せたのも俺だ」

Aは言った。

「お前は今日、俺の葬式に来てくれてありがとうと言ってくれたよね?あれは全部演技だったんだよ」

Aは言った。

「そして今、お前も俺と一緒に死んでくれるんだ」

Aは言って、ナイフを振り下ろした。

主人公は絶望的な叫び声をあげたが、それが最後の声となる。ナイフが主人公の胸に突き刺さり、血が噴き出す。Aは、主人公の顔を見て満足そうに笑う。Aは、主人公の耳元でささやく。

「これでおしまいだ。さようなら、親友よ」Aは、主人公の死体を抱きしめると、自分もナイフで喉を切る。

二人の死体は、血まみれのベッドの上で抱き合っていた。

その様子は、まるで愛し合っているかのようだった。

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