ある朝、太郎は、養父母が仕事に出かけた後に家を抜け出した。彼は、自分の荷物と書類を持って、最寄りの駅に向かった。彼は、本当の両親の住む町までの切符を買った。彼は、電車に乗り込んだ。
電車は、次々と駅を通過していった。太郎は、窓から外の景色を眺めながら、自分の選択に不安を感じた。彼は、養父母に対して感謝や愛情を持っていたが、それと同時に裏切られたという怒りや憎しみも持っていた。彼は、自分の気持ちが整理できなかった。
そんなとき、太郎の隣に座っていた女子生徒が声をかけてきた。
「ねえ、君……」
太郎は、振り返ってみると、同じ高校のさやかという女子生徒だと気づいた。さやかは、太郎と同じクラスで、成績優秀でスポーツ万能で美人で人気者だった。太郎は、さやかに憧れていたが、話したことはほとんどなかった。
「どうしたの?学校休んでるんだって?」
さやかが尋ねた。
「えっ……ああ……」
太郎は、言葉に詰まった。彼は、さやかに自分の旅の理由を話すべきか迷った。
「私も学校休んでるんだよ」
さやかが言った。
「え?なんで?」
太郎が驚いて聞いた。
「実はね……私も養子なんだ」
さやかが告白した。
「えっ!?」
太郎がさらに驚いて言った。
「うん。私も最近知ったんだ。でも私は君と違って、本当の両親に会いたくないんだ」
さやかが言った。
「どうして?」
太郎が尋ねた。
「だって……私を捨てた人達だよ。私にとって大切なのは今の家族だけだよ」
さやかが言った。
「そうなんだ……」
太郎は、さやかの考え方に共感できなかったが、否定もできなかった。
「君はどうなの?本当の両親に会いに行くの?」
さやかが聞いた。
「うん……会いに行くつもりだよ」
太郎が答えた。
「そう……じゃあ私も一緒に行こう」
さやかが言った。
「え?なんで?」
太郎が戸惑って聞いた。
「だって……君一人で行くのは心配だし……私も君の気持ちを知りたいし……」
さやかが言った。
「でも……」
太郎が抗議しようとした。
「いいじゃない。私も暇だし。君も一人で行くより楽しいでしょ」
さやかが言った。
「そうかな……」
太郎は、さやかの熱意に押されて了承した。彼は、さやかと一緒に旅をすることになった。彼は、それが自分の運命を変えることになるとは知らなかった。
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