「実は……太郎くんと一緒に旅行に来ているんです」
さやかが言った。
「旅行？どこに？」
養父母が驚いて聞いた。
「本当の両親の住む町に……」
さやかが言った。
「本当の両親……？」
養父母が困惑して言った。
「太郎くんが養子だということを知って、会いに行きたいと言って出て行ったんです」
さやかが説明した。
「そうだったのか……」
養父母は、悲しそうに言った。
「でも……本当の両親はもう亡くなっていて……太郎くんはショックを受けてしまって……」
さやかが言った。
「えっ！？それは大変だ！」
養父母が慌てて言った。
「どうしたらいいですか？太郎くんは何も話してくれなくて……」
さやかが言った。
「今どこにいるの？すぐ迎えに行くから」
養父母が言った。
「今電車に乗っています。もうすぐ東京に着きます」
さやかが言った。
「わかった。東京駅で待ってて。すぐ行くから」
養父母が言った。
「はい。よろしくお願いします」
さやかが言った。
電話を切った後、さやかは太郎に話しかけた。
「太郎くん……お父さんとお母さんに連絡したよ」
さやかが言った。
「え？なんで？」
太郎がぼんやりと聞いた。
「だって……心配してるんだよ。君を迎えに来るって言ってたよ」
さやかが言った。
「迎えに来る……？」
太郎が呟いた。
「うん。東京駅で待ってるって。君も会いたくないの？」
さやかが聞いた。
「会いたくない……わけじゃないけど……」
太郎が言った。
「でも……どうしても謝らなきゃならないことがあるんだよ」
さやかが言った。
「謝ること……？」
太郎が聞いた。
「うん。君は知らないだろうけど……実は君の養父母は、君を迎える前にもう一人の子供を亡くしていたんだ」
さやかが言った。
「えっ！？」
太郎が驚いて言った。
「うん。事故で死んじゃったんだって。だから君を迎えたときは、すごく嬉しかったんだって。君を本当の子供みたいに愛してくれたんだって」
さやかが言った。
「そうなの……？」
太郎が言った。
「うん。だから……君が出て行ったときは、すごく悲しかったんだよ。君を失いたくなかったんだよ」
さやかが言った。
「そうだったのか……」
太郎は、養父母の気持ちに気づいた。彼は、自分が彼らに対して感じていた怒りや憎しみが消えていくのを感じた。彼は、自分が彼らに対して感じていた感謝や愛情が溢れてくるのを感じた。
「ありがとう……さやか」
太郎は、さやかに感謝した。
「どういたしまして……太郎くん」
さやかは、太郎に微笑んだ。
電車は、東京駅に到着した。太郎とさやかは、駅の改札口で養父母と再会した。養父母は、太郎に抱きついて涙を流した。太郎も、養父母に抱きついて涙を流した。彼は、彼らに謝罪と感謝の言葉を伝えた。彼らは、互いに許し合って和解した。太郎は、養父母が自分を愛してくれていることに気づいた。
その後、太郎とさやかは、養父母と一緒に家に帰った。太郎は、自分の部屋で養子縁組の書類を見つめた。彼は、本当の両親の写真に手を合わせて祈った。彼は、本当の両親も自分を愛してくれていることに気づいた。
太郎は、本当の両親も養父母も自分の大切な家族だと思うようになった。彼は、自分の人生が嘘で塗り固められていなかったことに気づいた。彼は、自分の人生が愛で満ちていることに気づいた。
前編 後編
