ある日、元気いっぱいな女の子、さくらは、自分の夢の中に不思議な世界が広がっていることに気づきました。
夢の中ではすべてがカラフルで、空はピンク、木は青、花は虹色です。さくらは、その美しい世界を探検することに決めました。
「わあ!なんて素敵な場所なの!」と、さくらは自分の声に驚きました。
彼女が歩き出すと、奇妙な音が耳に届きました。見ると、近くにおしゃべりなウサギのラビがいました。
「こんにちは、さくら!」とラビは明るい声で言いました。「夢の国へようこそ!でも、実はちょっと困ったことがあるんだ。」
さくらはそのラビの言葉を聞いて、興味津々で尋ねました。
「何があったの?僕が手伝えることがあれば、何でもするよ!」
ラビは悲しそうな顔をして、「色の精霊たちが元気を失ってしまったんだ。夢の国を鮮やかに保つためには、彼らの「笑顔」の力が必要なんだ」と説明しました。
「笑顔の力を取り戻さないと、この美しい世界が色を失ってしまうかも…」
さくらはその話を聞いて、すぐに決心しました。
「じゃあ、私は笑顔を届ける旅に出るよ!みんなを笑わせて、元気にしてあげる!」
ラビは嬉しそうにうなずきました。「ありがとう、さくら!君ならきっとできるよ!」
さくらはまず青い木の下へ行きました。そこで、彼女は悲しそうな表情をしている精霊に出会いました。
その精霊は青い色をしていて、少し涙を流していました。「どうしたの?」とさくらは優しく訊ねます。
「最近、笑うことができなくなってしまったんだ…」と、精霊は言いました。
さくらは思いつきました。「きれいな歌を歌ってもいい?それが君を笑顔にできるかもしれない!」
青い精霊は不安そうに頷きました。さくらは心を込めて歌い始めました。彼女の歌声は、まるで春の風のように心を温め、青い木々もさわやかな風が吹いているかのようでした。
「今度は楽しいお話を聞かせてあげるよ!」と、さくらは精霊に言いました。楽しい冒険の話や面白い出来事を語り、精霊はどんどん笑顔を取り戻していきました。
すると、青い精霊の色がどんどん鮮やかになっていき、輝き出しました!
「ありがとう、さくら!おかげで笑うことができたよ!」と精霊は喜びの声を上げました。さくらは嬉しくなり、次の場所へ向かいました。
次に、彼女は虹色の花畑へ足を運びました。そこには、泣いている精霊がいました。彼女の色は薄く、花の美しさに負けそうでした。
「どうしたの?」とさくらは聞きました。
「この美しい花を見ても、私は何も感じられないの…」と精霊は悲しそうに呟きました。
さくらは思い立ち、花を一つ摘んでその精霊に差し出しました。「これを受け取って。花はあなたの笑顔を見たいと思っているよ!」
精霊は花を受け取ると、ほんのりと笑顔を浮かべました。すると、これまで暗かった周りの色が輝き出し、花畑が色とりどりの光に包まれました。
「本当にありがとう、さくら!」と精霊は大笑いしました。
さくらはその姿を見て、心も嬉しくなり、次は最後の精霊に会うために進みました。
夢の国の中心にたどり着くと、そこには全ての精霊たちが集まっていました。しかし彼らは、依然として元気がありませんでした。
「でも、私にはあなたたちを笑顔にする力がある!」とさくらは自信を持って叫びました。彼女は精霊たちに、青い精霊と虹色の精霊の話をしました。そして、彼女自身の楽しいエネルギーを分け与えました。
「さあ、みんな一緒に笑おう!」
精霊たちはさくらの声に応えて、一斉に笑い出しました。すると、夢の国全体がカラフルな光で満ちていきました。
それを見てさくらも思わず笑顔になりました。「笑顔の力って、すごい!」と彼女は叫びました。
色の精霊たちが取り戻した「笑顔」を見て、夢の国は再び美しさを取り戻しました。空はさらにピンクに、木々は一層青く、花はさらに鮮やかに咲き誇りました。
さくらは自分の力でみんなを笑顔にできたことに胸を張り、夢の国を後にしました。彼女は家に帰る途中、心がとってもあたたかくなっていました。
夢から目を覚ましたさくら。今日は朝日が眩しく輝き、彼女の心に明るい色をもたらしていました。
さくらはその日の出来事を忘れずに、現実の世界でもたくさんの人を笑顔にしようと決心しました。彼女は自分の力で、「笑顔」を届けるヒーローになりたいと思ったのです。
そして彼女は、日常の中で小さな幸せを見つける旅に出ました。
友達に楽しい話をしたり、お母さんに優しい言葉をかけたり。毎日、笑顔の輪が広がっていきました。
その優しい心が、さくらの周りの世界に明るい色をもたらしました。