月夜の影 – 第一章：不吉な予兆 後編

第一章：前編｜後編

第3話: 初めての手がかり

風間は伝説についての疑念を胸に、寺院周辺の捜査を進めることにした。彼はまず、寺院に近い家々を訪れ、事件の夜に何か不審な人物や現象を見かけなかったか尋ねた。多くの住民は何も見ていないと答えたが、一人の老婦人が興味深い証言をした。

老婦人はその夜、自宅の窓から寺院の方向を見ていたとき、庭園に人影のようなものを見たと語った。それは普通の人間の影ではなく、どこか形が不定で、動きも不自然だったという。老婦人はそれが風や木々の影響である可能性も考えたが、その動きは自然現象には思えなかったと強調した。

風間はこの証言に興味を持ち、老婦人の家から寺院の庭園がどのように見えるのかを確かめた。窓から見える範囲は限られていたが、確かに庭園の一部が見渡せる位置だった。老婦人が見た影は、僧侶の遺体が発見された場所の近くだった。