「素晴らしい歌だったよ。君がウィンさんだね？」とアキラが声をかけると、ウィンは優しい笑顔で振り向いた。
「ありがとう。あなたたちは？」とウィンは尋ねた。
「僕はアキラ。音楽プロデューサーとしてメロディア全土で音楽祭を開催しようとしている。こちらはリーナ、そしてルークとシェリー。僕たちと一緒に音楽祭に参加してくれないか？」
ウィンは驚いたように目を丸くした。「音楽祭……？それは素晴らしいわ。でも、私にできるかしら」
アキラは彼女の肩に手を置き、「君の歌には人の心を動かす力がある。今、森を守っているように、音楽祭でもその力を発揮してほしいんだ」と説得した。
ウィンは少し考え込んだ後、意を決して頷いた。「わかったわ。私も音楽で人々の心を動かしたいと思っていたの。参加させてちょうだい」
ウィンは魔法使いの一族に生まれ、幼い頃から森の守護者としての役割を果たしてきた。彼女の歌声には魔法の力が宿り、精霊たちを引き寄せ、森を外敵から守っていたのだ。だが、ウィンは自分の歌がもっと多くの人に届き、音楽の力で人々を癒したいという思いを抱いていた。それは彼女の母が生前、森に集まる人々に歌を披露していた姿を見た影響が大きかった。
