異世界農業革命 – エピローグ

 ガイは照れくさそうに苦笑しつつ、「守るだけじゃなく、今度は俺たちが攻めに出る番だからな。荒地を開墾するプロジェクトをやるって聞いたが、俺は土仕事より護衛の方が性に合ってるかもしれねえ」と剣の柄を軽く叩く。

 この荒地再生プロジェクトは、周辺地域の飢饉対策に大きく貢献すると期待されている。かつては枯れ地と呼ばれた場所へ、新たな農業手法を導入して少しずつ開墾を進める計画だ。領主や他の村も巻き込んだ広域的な取り組みとして、すでに準備が始まっている。

 一方、エリアスは外交や調整役として忙しい日々を送っていた。領主のもとへ赴き、税の再調整や新技術の提供に関する交渉を重ねながら、周辺の村と協力して食糧生産を拡大していく。とりわけ有望なのが、魔力をエネルギー源として利用する新しい灌漑(かんがい)システムの試みで、エリアスはその導入にこぎつけるため、あちこちに奔走している。

「エル・リーフ村だけが豊かになっても意味がない。俺たちが得た知識を共有して、周りの地域も一緒に発展できるようにしたいんだ。そうすれば領主や貴族だって、むやみに支配を強めようとはしないだろうしね。」

 彼がそう言うと、一樹は深く同意する。「食糧不足や飢饉で苦しむのは、どの地域でも同じ問題ですから。知識を共有することこそ、この世界を変えていく鍵になるはずです。」

タイトルとURLをコピーしました