異世界農業革命 – エピローグ

 そしてエル・リーフ村には、最近になって新たな訪問者が増え始めていた。魔力の起源や歴史的背景を調べる学者、独自の農法を持ち込む異国の旅人、あるいは単純にこの“革命的な村”を一目見たいとやってくる者まで、目的はさまざまだ。中には不穏な動きを感じさせる者もおり、貴族派や裏社会の謀略を警戒する声も絶えない。しかし一樹は、そのすべての来訪者を拒むつもりはなかった。

「たとえ利用されるリスクがあっても、いろいろな人と出会い、情報を交換することで見えてくるものがある。もしかしたら、魔力の真の起源や、この世界が抱えてきた歴史の秘密にも近づけるかもしれない。」

 シルヴィアも同じ思いで、「私、もっと魔力の本質を知りたいんです。どうして土地によってあれほど性質が変わるのか、なぜ魔物が生まれるのか……。エル・リーフ村の成功が、その解明の糸口になればいいな」と瞳を輝かせる。

 こうしてエル・リーフ村は、さらなる挑戦への歩みを始めていた。かつては外部からの攻撃や魔力災害に振り回されるだけだった土地が、今や周囲の地域から注目を集める中心地となっている。“知識を共有することで人々を救う”という理念は確かな説得力を持ち、ほんの少し前まで対立姿勢を示していた領主や貴族にさえ影響を与えつつあった。

 さらに、魔力にまつわる根源的な謎――この世界のどこかに封印された“古代の遺跡”や“伝説の魔法書”などの存在が、噂として囁かれ始めている。それらをめぐって新しい仲間が加わるかもしれないし、あるいは新たな敵が現れるかもしれない。状況はいつ急変してもおかしくはないが、一樹たちは前を向き、次の一歩を踏み出そうとしていた。

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