その時、戦場の片隅で、かつての知り合いと思われる人物の姿が一瞬見えた。陽斗は、ふとその人物の表情に違和感を感じ、敵味方の区別がつかなくなる混沌の中に、一抹の戸惑いを覚えた。
「…あの人は、一体何者だ？」
ミカエルが低い声で問いかけ、エリナもまた、疑問を隠せない様子で周囲を見渡した。どうやら、敵の中に、かつて陽斗が知り合った人物が混じっているようで、その正体はまだ明らかではなかった。
戦いは激しさを増し、内外から迫る敵の圧力の中で、陽斗と仲間たちは互いに連携を深め、命を賭けた攻防を続けた。陽斗は新たな「重力領域」の技を使いこなし、敵の攻撃を跳ね返すだけでなく、戦況を一変させる一撃を放つことで、次第に戦場の主導権を握り始めた。
「今こそ、全員で一丸となれ！ この戦いに勝利し、民と王国を守るんだ！」
陽斗の叫びに、仲間たちは再び士気を奮い立たせ、連携攻撃を仕掛ける。ロレンスの鋭い斬撃、エリナの煌めく魔法、そしてミカエルの冷静な指示が、まるで一つの調和を奏でるかのように、敵陣を切り崩していった。
戦場は混沌とした激戦の最中にあっても、仲間たちの信頼と絆が確かな支えとなっていた。重傷を負ったカイルを抱えながら、エリナは優しく語りかけた。
「私たちの力は、単なる武力ではなく、互いの心が結びついているからこそ輝くのよ。これからも信じ合い、進んでいきましょう」
ロレンスもまた、剣を握りしめながら静かに頷いた。
