大学生のタケシは特に目立つような存在ではなかった。しかし、彼には一つだけ特技があった。それは、ギャグを言うこと。友人たちとオンラインゲームを楽しむのが日常で、彼のユーモアはいつも周囲を笑わせていた。
ある夜、ゲームのセッション中に、突然画面が白く光り、気がつくと異世界に立っている自分に驚いた。目の前には巨大なドラゴンが悠然と構えていた。
「え?これって何?」
タケシは思わず声を上げてしまった。彼はそのまま目をこすりながら周囲を見回した。
「あれ、ここってファンタジーの世界じゃね?」
初めて見る魔物や魔法使いたちに興奮しながらも、彼の心の中は不安でいっぱいだった。剣の使い方も、魔法の唱え方も知らない。ただ、笑える話をして短い命を延ばしたいという気持ちが湧き上がる。
ところが、その瞬間、彼の前に「最強の英雄」として崇める村人たちが集まってきた。「おお、伝説の英雄タケシよ!私たちを助けてくれ!」
正直、彼はそんな期待に応える自信がなかった。しかし、タケシの前向きな性格と持ち前のユーモアが幸運をもたらす。彼は何もできないのに威風堂々とした態度を見せ、村人たちを「笑いの力」で応援することに決めた。
「皆さん、ここにいるのは僕だ。タケシこと、異世界のギャグマン!」
村人たちは「何それ!」と大笑い。タケシは思いつく限りのギャグを放ち、まるで魔法のように村を笑いの渦に巻き込んでいった。そして次第に彼は、村の「ギャグヒーロー」としての立場を確立していく。
勇者仲間には真面目な剣士のケンジと、異常なほど食いしん坊の魔女リリィが加わった。リリィが「タケシ,何か面白いこと言ってよ!」と賢そうに言うと、彼はすかさず反応した。
「最近、森で見つけたキノコがあまりに大きくて…いや、マジでパンができそう!食ってみる?」
二人は大爆笑。そんな彼の明るい性格のおかげで、様々な冒険を通じて仲間たちとの絆は深まっていった。
もちろん、依頼だってあった。巨大なモンスターを退治するためのクエストもあったけど、タケシは剣や魔法で戦うのではなく、モンスターたちにギャグを投げかけることで、危機を笑いで乗り越えていくことに決めた。
「お前、イモのような顔してるな!生まれたての赤ちゃんよりもデカイ!」
こうしてタケシは、モンスターたちを次々に笑わせ、敵を魅了し倒していく。村人たちはますます彼のことを敬愛し、タケシの名はどんどん広まっていった。
冒険が進むにつれて、タケシは「ギャグノート」という魔法の書を手に入れる。それは見た目は重たい本だったが、実はその中には無限のギャグが詰まっていた。
一見すると、戦いの力は感じられなかったが、本を開くとタケシの記憶が彼にジョークを与えてくれる。
「え?そんなことも言えるのか?」
彼はすぐに本を使って、モンスターに向かって「お前の友達が運転する運転手が、試験で落ちたらしい!あっ、そこに岩があるぞ!」と叫んだ。
モンスターたちはあまりに笑って、地面に転がってしまう。そんなあっけない戦い方で敵が倒れ、タケシは魔法の書を手に入れたのだ。
最終決戦の場面では、集まった大勢の敵がタケシのギャグに対抗できず、次々と倒れていった。周囲は大騒ぎだった。タケシの存在は「ジョークの神」と呼ばれることになり、異世界の住人たちは心から彼を敬った。
戦いが終わり、異世界の平和が訪れる。しかし、タケシはふと思い出す。元の世界に戻りたい。しかし、帰り方は分からない。
その瞬間、彼は再び光に包まれ、元のゲームの画面へと飲み込まれてしまう。意識が戻った時、ゲームの中で笑いの充実感を感じながら、タケシは自分のネタ帳に向かってこう記載した。
「笑いの力で、人の心を結ぶことができる。それこそが本当の英雄だ」
異世界での経験を経て、タケシは大学生活の中で友人たちにそのギャグセンスを披露し、見事な「英雄」となっていくのであった。予想外の冒険の結末が、彼に新たな人生の扉を開いていくのだった。
笑いがある限り、タケシの冒険は終わらない。

















