二度目の初恋 – 最終話

時間が流れ、アイコとサトシは共に新しい生活を築いていた。彼女の記憶は完全には戻らなかったが、それが二人の間にある愛情を損なうことはなかった。むしろ、新たな愛と理解のもと、二人はかつてないほど深く結ばれていた。

ある冬の夜、二人は暖かいリビングで過去の写真アルバムをめくりながら、共に過ごした日々を振り返っていた。

「ここ、覚えてる? あの時のキャンプ、すごく寒かったけど、星がきれいで…」サトシがある写真を指差し、ニコリと笑った。

アイコはその写真を見て、ほんのりと笑みを浮かべた。「覚えてないけど、この写真、すごく幸せそうね。サトシと一緒にいられるって、本当に幸せだわ。」

「アイコ、君がそう言ってくれるだけで、俺は何もかもが報われるよ。」サトシはアイコの手を握りながら、そう言い、彼女の温もりを感じていた。

二人の日常は、小さな幸せで満ちていた。一緒に料理をしたり、週末には近くの公園で散歩を楽しんだり、時には二人で静かに本を読んだり。記憶が戻らないことによる隙間は、新しい思い出でぎっしりと埋められていた。

「ねえ、サトシ。私たち、これからもずっと一緒にいられると思う?」アイコはふと、そんな質問を投げかけた。

サトシは彼女の目をじっと見つめ、確かな声で答えた。「もちろんだよ。アイコ、君がいる限り、俺はどこにも行かない。これから先、どんなことがあっても、二人で乗り越えていける。」

アイコの心には、サトシと過ごす未来への確かな希望が満ち溢れていた。彼女はサトシの側で、自分の存在が完全なものになることを実感していた。過去の記憶を失ったことによる空虚感は、サトシとの深い絆で完全に癒されていた。

時には過去のことで心が揺れ動くこともあったが、アイコはサトシがそばにいてくれることで、どんな不安も乗り越えられると確信していた。二人はお互いを深く理解し、尊重し合う関係を築き上げていた。

彼らの生活には、過去の影もさりげなく色を添えていた。しかし、それは二人の間にある愛情の深さを一層際立たせるものであり、過去と現在、そして未来を繋ぐ大切な橋渡しとなっていた。

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