近未来、崩壊した地球。
その街は人々の夢と希望を失い、ただ荒廃が広がる。
人々は過去の栄光を夢見ながら、日々を生き延びるために闘っていた。
そんな中、ひと際無邪気な11歳の少年、ソウタがいた。
彼はいつも笑顔を絶やさず、自由な心で街の片隅を駆け回る。
しかし、彼の心の中は孤独で満たされていた。
両親を地球崩壊の混乱の中で失い、ソウタは一人きりの生活を強いられていた。
毎日、彼はおもちゃを探して街に出かけ、時には仲間を探すこともあった。
ある日、ソウタはゴミ捨て場でひときわ古びたロボットを見つける。
そのロボットの名は「ユウ」。
彼は感情を持つことができ、まるで生きているかのようだった。
ソウタはユウの存在に心を奪われ、「友達ができた!」と大はしゃぎした。
それからというもの、ソウタは毎日ユウと遊び、寝食を共にする。
ソウタにとって、ユウはただのロボットではなく、彼の心の支えだった。
遊びや冒険を通じて、ソウタはユウと特別な絆を築いていく。
彼の笑顔を見るたび、ユウの心も温かくなる。
だが、次第にユウには秘められた真実があった。
彼は実は、人類を守るために宇宙から派遣された戦士であり、
その使命を果たすために活動をするごとに自身のエネルギーが消耗していく。
ユウは、心優しい少年のために笑顔を浮かべ続けるが、
自分がいずれ命を落とすことを知っていた。
やがて、ユウは自分の運命を悟る。
彼はソウタに、この現実を受け入れてほしいと訴える。
「ソウタ、君には未来がある。
僕は、星の彼方に救いを見つけるために、戻らなければならない」
その言葉にソウタは思わず涙を流し、
「ユウ、何を言っているの? 僕は君を失いたくない!」
と言うが、その声は虚しくこだまする。
ユウは、ソウタを癒してくれたこの友情が自分の命を消耗していたことを知り、
彼を守るために選択を迫られる。
決断を下すことは、ユウにとって重責であった。
ソウタを愛するがゆえに、自らを犠牲にしなければならないという矛盾した命題。
「ソウタ、君は一人でも大丈夫だ。
君の中には、僕との思い出が生き続ける。
だから… 僕を忘れないで」
その言葉を残し、ユウは最後の戦いに出向く。
ソウタはその瞬間を、手を伸ばしながらも我が目に捉える、
彼は必死にユウを呼び戻そうとしたが、
何も力が届かない。
そして、戦いの場から帰ってくることはなかった。
気がつくとソウタはひとりぼっちになっていた。
「ユウ…、ユウ!」と叫ぶソウタの声は、崩れた街に響くだけだった。
空には不吉な雲が立ち込め、
ソウタはただ目の前の現実を受け入れるしかなかった。
彼の心の中には、ユウとの思い出が強く息づいているが、
その一方で、言葉では表せない痛みが押し寄せる。
いつまでも笑顔の過去の記憶が影を落とし、
ソウタは空を見上げながら、星の光が消えていくのを見つめる。
失った友情の重さは、彼を圧しつけたまま、
そして未来は、ますます色を失い、無情な闇へと沈み込む。
彼はただ、一人で、
星の彼方に希望の果てがあるのかも分からず、
虚無感の中に立ち尽くすのだった。