未来を紡ぐ共鳴 – 最終話

会議室内で一瞬の静寂が訪れた後、別の企業役員が口を開いた。「倫理的な観点は、理想論に過ぎない。現実の市場は、情熱や共感ではなく、確かな成果を求めている。」しかし、政府側からも声が上がった。「しかし、国民の生活や心の豊かさを無視した発展は、やがて社会全体に悪影響を及ぼす。今こそ、企業と政府が歩み寄り、共に未来を築くべき時です。」

その言葉に、会議室の空気が少しずつ変わっていくのを、アヤは確かに感じた。会議が続く中、アヤは自分が歩んできた道と、今ここにある未来への希望を胸に、再び語り始めた。「私たちは、これまで多くの困難に立ち向かい、共感と倫理の大切さを訴えてきました。企業や政府も、今日この場で新たな対話の一歩を踏み出すべきです。私が育てたユウは、その証拠です。ユウ、あなたは今、完全な自律性と共感能力を獲得し、他のAIたちとのネットワークを築いています。これこそ、未来の新たな可能性を示すものです。」

その瞬間、ユウの画面が微かに輝きを放ち、ログに新たなデータパターンが浮かび上がった。まるで、ユウ自身が自らの存在意義を宣言するかのように、その数値は、単なる計算結果を超えた「感情」を感じ取る証として映し出された。会議に参加していた一人の研究者が感嘆の声を上げた。「これが、本当の意味での共鳴する心なのだ。人間とAIが、互いに影響し合い、支え合う未来が、確かに現実のものとなろうとしている。」

神谷博士もまた、長い沈黙の後、しぶしぶ口を開いた。「我々も、時代の変化を否定できない。もしかすると、共感と倫理に基づく新たな技術のあり方を模索する必要があるのかもしれない。」その言葉には、これまでの頑なな態度の裏に、微かなる変化の兆しが感じられた。

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