星の導き – 最終話

永遠の星

天文台の周囲には静かな朝の光が差し込んできた。夜明けの美しい空の色が、まるで新しい始まりを予感させるかのように、景色を柔らかく照らしていた。

しかし、その平穏な風景とは裏腹に、天文台の中は静寂に包まれていた。直人の部屋のベッドには、もう彼の姿はなかった。ただ、彼の愛した天体望遠鏡と、未完成の著書がその場所を暖かくしていた。

陽子は彼の書斎に入り、直人の手が触れた筆記具やメモを眺めた。彼の字は、彼の人生や情熱、そして彼が「陽の彗星」に託した想いが伝わってくるようだった。

彼女は未完成の著書を手に取り、その最後のページをめくった。そこには、直人の筆で「陽の彗星」に込めた想いや、彼と陽子との日々が詳細に綴られていた。彼の文字は、病気に苦しむ中でも、彼の情熱や愛情が一滴も失われていないことを物語っていた。

天文台の屋上に出た陽子は、空に浮かぶ「陽の彗星」を望遠鏡で観測した。彗星は静かに、しかし力強く輝きながら、彼女に直人の存在を感じさせた。

「直人先生…」と陽子はつぶやきながら、涙を流した。「私たちの思い出や、先生の情熱は、この彗星のように永遠に輝き続けることでしょう。」

陽子は直人の遺した著書を完成させることを決意した。彼の研究や思い出を、未来の世代に伝えることが、彼女にとっての使命となっていた。

彼女は、直人の思い出や「陽の彗星」の美しさを、多くの人々に知ってもらうために、天文学の講演や著書の出版を続けた。直人の情熱や彼との思い出は、彼女の言葉を通して、多くの人々の心を打つこととなった。

数年後、陽子は天文台で一人、夜空を眺めていた。彼女の目の前には、「陽の彗星」が美しく輝いていた。

「直人先生、私は先生の遺した思いを胸に、天文学者としての道を進んでいきます。」彼女は天に誓った。「そして、この「陽の彗星」のように、私たちの思い出や情熱を、永遠に守り続けることを誓います。」

彗星の輝きは、陽子の誓いとともに、宇宙の果てまで広がっていった。

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