大空の船 – 第1章 前編

日が高くなるころには、アレンは作業に疲れてうとうとし始める。グライダーの翼を縫い合わせた布や、釘を打ち込んだ木材が散乱したままの裏庭を見渡して、「もう少しうまくいきそうなのに……」とつぶやく。その背中には、幼いながらに大きな夢を抱えた子供の強い意志が見えている。両親も町の人々も、それを完全に理解はできなくても、どこか応援している雰囲気だ。

空を見上げれば、眩しい青が広がっている。あの遥か上の世界へ近づくことができるのは、渡り鳥や浮雲だけではない、とアレンは頑なに信じているのだ。紙飛行機と木製グライダーだけを頼りにした彼の幼い実験は、おそらくほとんど失敗に終わるだろう。けれど、その数秒間でも自分の身体が浮いたと感じられれば、少年の夢はますます膨らんでいく。

町の人々にしてみれば、「空を飛ぶ」なんて荒唐無稽な話に思える。しかし、アレンは確かに空が呼んでいるように感じていた。海風に乗って漂う雲の形、朝焼けや夕焼けが染め上げる空の色、それを見上げるたびに心が躍る。もっと上へ、もっと遠くへ。いつの日か、誰も見たことのない空の領域へ行ってみたい。

彼はまだ、その夢がどれほどの困難を伴うか知らない。資金も、技術も、仲間も足りない。けれど、少年の小さな胸に宿る熱だけは揺るぎない。やがて、この町に住む「変わり者の発明家」への興味がアレンの行動を大きく変えていくことになるが、それはまだほんの少し先の話――。

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