大空の船 – 第1章 前編

朝食を終えた後、アレンは裏庭に出て、前に作った木製の簡易グライダーらしきものを点検しはじめる。翼と言っても布を張っただけの代物で、実際はジャンプしても数メートル先に着地する程度。それでも「今より少しでも遠くへ」という想いで改良を重ねてきた。失敗して転んで怪我をするたびに、両親から心配されつつも、自分なりの方法を探り続けている。

「もっと軽い素材があればいいのかな……いや、骨組みの強度も必要だし……」

半ば独り言のように思案をめぐらせていると、時々町の人が通りから声をかけてくる。「アレン、お前また変なことやってるのか」「そんなことより一緒に船の手伝いに来いよ」といった具合に。アレンは「ごめん、次の機会に!」と返しては、また作業に没頭する。仲間はずれというわけではないが、彼は小さな頃から「空」に目を向けてきた唯一の少年だった。

裏庭にはいつのまにか父親が立っていて、板切れや金属片を手にしている。どうやら「これ、使えそうにない漁具なんだが、何かに使えるかもしれない」と、アレンに差し出してくれるらしい。アレンは目を輝かせて、「ありがとう!」と受け取った。漁網の残骸や壊れた釣り竿など、思いもよらない部品が何かの発明に役立つかもしれないのだ。

そうして町の人々は口では色々と言いながらも、時々こうしてアレンに部品や材料を提供してくれる。半ば好奇心もあるのだろう。あの少年が「空を飛ぶ」という、まるで絵空事のような夢をどう形にするのか、見てみたいという気持ちがどこかにあるのかもしれない。

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