ゾンビ社長のリモートワーク – 第1話

仕事を終え、いつものように遅くなったオフィスを後にするタカシ。帰宅途中の道すがら、彼はふと、通りすがりのカフェのテレビに映るニュースを目にする。画面には「謎のウイルス、感染者がゾンビ化?」という見出しが流れていた。リポーターは興奮気味に話し続けているが、タカシはそれを冷笑して見つめる。「そんなバカな話があるものか」と、彼はニュースを一笑に付す。社会は常に何かしらのパニックに包まれているが、それに惑わされることは彼の性分ではない。真実を追求し、無駄な情報には耳を貸さない。それがタカシの生き方だ。

しかし、その夜、予想外の出来事が彼を襲う。自宅に向かう途中、人気のない路地を歩いていたタカシは、突然現れた不審な人物に襲われる。薄汚れた服をまとい、異常なほど荒い息を吐きながらタカシに向かってくるその男は、まるで人間離れした動きをしていた。タカシは反射的に防御姿勢を取るが、男の爪が彼の腕にかすり傷をつけてしまう。その瞬間、タカシは男を突き飛ばし、すぐに逃げ去った。しかし、彼の腕には奇妙な痕が残り、痛みとともにじわじわと広がる違和感が襲ってくる。

タカシは自宅に帰り着くと、疲労とともにそのままベッドに倒れ込む。しかし、翌朝目覚めたとき、彼は自分の体に異変を感じた。まず、肌が灰色がかっており、全身に冷たい感覚が広がっている。鏡を覗き込むと、白目が黄色く濁り、血の気が失われた自分の顔が映っていた。さらに、異常なほどの飢えを感じる。冷蔵庫から手当たり次第に食べ物を取り出して食べ始めるが、何を口にしても満足できない。まるで体が別のものを求めているかのようだ。

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