ゾンビ社長のリモートワーク – 第4話

一方、タカシはゾンビ化によって肉体的な変化も感じ始めていた。ある日、彼がデスクの椅子を調整しようとした時、少し力を入れただけで椅子の脚がポキリと折れてしまった。「…こんなに脆かったか?」タカシは驚いたが、すぐに自分の怪力に気づいた。普通の人間ならあり得ないような力が、今の彼には備わっている。彼はこの力を仕事にどう活かせるかを考え始めた。

例えば、大量の資料を運ぶ場面では、一度に数十キロの重さを軽々と持ち上げることができた。普段なら数人がかりで行う作業を、一人で短時間で片付けることができる。彼はこうした「新たな能力」を密かに楽しんでいたが、同時に社員たちに不自然に思われないよう、慎重に行動しなければならないと自覚していた。

「社長、本当に精力的ですね。僕たち、ちょっとついていけないかも…」と、若手社員の佐藤が冗談めかして言った。山田も「いや、社長、最近ますます効率的すぎますよ。ゾンビだからこそできる技なんじゃないですか?」と笑いながら続けた。タカシは彼らの冗談に微笑んで応じたが、内心では少し警戒心を抱いていた。「このままではバレてしまうかもしれない」と思いつつも、彼は自分のペースを維持しようと決意する。

しかし、ゾンビ化には利点だけでなく、いくつかの副作用も現れてきた。タカシはある日、鏡を見て自分の肌がさらに灰色がかっていることに気づいた。さらに、髪の毛がパラパラと抜け落ち、見た目がますますゾンビのようになっている。タカシは焦り、すぐに自分をカバーする方法を考え始めた。

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