ゾンビ社長のリモートワーク – 第4話

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タカシはある朝、ふと気づいた。ここ数日、ほとんど眠っていないにもかかわらず、全く疲れを感じていないことに。それどころか、体が軽く、頭もクリアだ。まるで休む必要がないようにさえ感じられる。彼はしばらくその感覚を疑っていたが、ゾンビ化による影響だと悟ると、その能力を仕事に活かせるかもしれないと考え始めた。

「眠らなくていい…これは有利だ」とタカシは内心つぶやいた。今までは、会社の業務が終わっても夜遅くまで働き、睡眠時間を削って何とかこなしていたが、今はその必要がない。彼は、ゾンビとしての自分の新しい力を活用し、さらに効率的に仕事を進める決意をした。

その日から、タカシは夜通しで働くことを始めた。深夜、誰もいない静かな自宅オフィスで、重要な資料や会議の準備を黙々とこなし、朝を迎える頃にはすべてのタスクが完了していることが増えてきた。次の日、社員たちは驚く。「社長、昨日の夜中に大量のメールが届いていたんですけど…いつ寝ているんですか?」と秘書の西川が心配そうに尋ねる。

タカシはにっこりと微笑んで答えた。「リモートワークは自宅だから、リラックスできるんだよ。最近、体調も良くてね」。社員たちはその返答に納得するしかなかったが、西川はどうにも腑に落ちない。「本当に大丈夫なんだろうか?」と彼女は心の中で疑問を抱きながらも、それ以上追及することはなかった。