ゾンビ社長のリモートワーク – 最終話

「このプロテインバー、本当に効果がありますね」とタカシは自宅でサプリを口にしながら独りごちた。ゾンビとしての飢えを感じることはほとんどなくなり、食欲に悩まされることも少なくなってきた。さらに、タカシは体の腐敗を防ぐために、毎朝欠かさずスキンケアを行い、ゾンビとしての体をできる限り良い状態に保っていた。特製の化粧品を使って顔色を整えることも、もはや日課になっていた。

その一方で、副社長の小田との関係も変わりつつあった。小田は、以前はタカシの変化に疑念を抱き、何か隠しているのではないかと疑っていたが、今ではタカシの成長を認め、リーダーとしての彼を尊敬するようになっていた。小田は、タカシがゾンビ化していることを完全には理解していなかったものの、その変化を受け入れ、厳しく追及することはなくなった。

「社長、最近は本当に成長されましたね」と、小田がある日タカシに話しかけた。タカシは笑顔で応じ、「いや、社員たちが私を支えてくれているおかげだよ。皆のおかげで、会社は成長している」と感謝の気持ちを表した。タカシと小田の間には、新たな信頼と協力の絆が生まれつつあった。

数ヶ月が経ち、タカシの会社は新たな大手クライアントとの契約に向けて動き出していた。このクライアントは海外の企業であり、タカシはリモート会議を通じて、彼らと契約を結ぶことを目指していた。タカシはゾンビとしての力を最大限に活かし、時差をものともせずリアルタイムで会議に対応できることをアピール。これによって、海外クライアントからの信頼も深まり、会社の国際展開が現実のものとなりつつあった。

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