翌朝、翔太は街中から聞こえる異様な騒音で目覚めた。窓を開けると、近所の犬たちが人間の言葉で会話している。
「いやー、散歩ってさ、ホント面倒くさいよねぇ」「おやつケチられるのムカつくよなぁ」
翔太は驚いてスマホを手に取りテレビをつける。画面には地元の高校の校長がヒップホップダンサーとして踊り狂っている姿が映されていた。
「な、なにこれ……?」
大学に向かう途中も、嘘が現実になったとしか思えない事態に次々と遭遇した。
キャンパスでは同級生が興奮気味に騒いでいる。
「すげぇ!授業全部休講だってよ!」「しかも単位はみんな自動取得だって!」
「翔太、あのアプリすげえな!」と祐介が興奮して駆け寄ってきた。
「いや、待て!これ全部マジになってんだぞ!どうすんだよ!」
翔太は焦りながら叫ぶ。
「何が問題なんだよ。夢のような世界だろ?」
翔太は急いでアプリを消そうとするが、画面には『削除できません』と無情なメッセージ。
「終わった……」翔太は絶望の声を上げた。
翔太は試しに「全部嘘でした!」とアプリに打ち込んでみたが、既に実現したことは取り消しが効かないという仕様だったことを思い出す。



















