海の都のプリンセス:アクアリアの秘密 – 第2章

第1章 第2章

襲撃の夜

成人の儀式が一段落ついた後、アクアリアの都は夜の帳に包まれた。夜のアクアリアは、昼とはまた異なる美しさを放っていた。多くの生物たちが、光を放つ鱗や触手で都のあちこちを照らしていた。しかし、その美しい光景の中に、微かな闇が忍び寄っていた。

宮殿の一室で、セリアは家族と共に晩餐を楽しんでいた。成人の儀式の成功を祝い、王と王妃、そしてセリアは笑顔で乾杯を交わした。

“セリア、本当に今日はよく頑張った。” 王、セリアの父、は彼女に微笑みかけた。

“ありがとう、父上。でも、儀式中のあの爆発音、あれは一体…” セリアは顔を曇らせた。

王妃アリシアはやさしくセリアの手を取った。”心配しないで、私たちの護衛たちがしっかりと守ってくれる。”

と、その時、突如宮殿の外から大きな爆発音が再び響き渡った。宮殿全体が激しく揺れ、食器や家具が倒れる音が響いた。

“何が起こっているのか!?” 王は立ち上がり、大声で呼びかけた。

その時、護衛隊の隊長、ガルヴァンが慌てて部屋に駆け込んできた。”陛下、王国に未知の敵が襲来しています。我々の防御網を突破し、都市の中心に迫ってきています。”

セリアは驚きと恐怖に震えながら、”その敵とは、一体…”



ガルヴァンは重々しく答えた。”それが、我々も詳しいことはわかりません。ただ、彼らの力は計り知れず、通常の方法では対抗することが難しい状況です。”

王は顔をしかめ、”ガルヴァン、城を守るために全力を尽くせ。そして、セリアを安全な場所へと避難させてくれ。”

ガルヴァンは頭を下げた。”承知しました、陛下。”

王妃アリシアはセリアの手を強く握りしめ、”セリア、あなたはこの宮殿から逃げなければならない。私たちがあなたを守るため、できることをするから。”

セリアは涙をこらえながら、”でも、母上、私は皆様を置いて逃げるわけには…”

王は彼女の肩を握り、”セリア、あなたはこの国の未来である。今は、自分の命を守ることが最優先だ。”

その時、宮殿の奥から、王国の古老、オルヴィンが姿を現した。彼はアクアリアの歴史や伝承を知る唯一の者で、その言葉には重みがあった。

“セリア様、今は地上へと逃げるのが最善です。” オルヴィンは深刻な表情で言った。”そして、地上で答えを探し、アクアリアを救う方法を見つけなければなりません。”

セリアはオルヴィンの言葉に驚き、”地上に? でも、私は…”

オルヴィンはセリアの手を取り、”私があなたを安全に地上へと送り届けます。しかし、時間がありません。急ぎましょう。”