従魔の心 第2章: 村の橋渡し

第1章 第2章

第1話: 精霊の騒動

春の終わりに近づくある朝、カイは村の外れで水を汲みに行った際、異変に気づいた。普段なら清らかで豊かに流れる川の水が、ほとんど枯れかけており、そのせせらぎもかすかなものとなっていた。村の生活に欠かせない水源が突如として減少したのだ。

不安に駆られたカイは、ミコを連れて原因を探るべく森へと向かった。森は村の生命線であり、多くの精霊が住む聖地でもあった。森の深いところへと足を進めるにつれ、彼の耳には奇妙な音が届き始めた。それは精霊たちの怒りの声だった。

「ミコ、精霊たちが何かを訴えているみたいだね。」カイが低く話しかけると、ミコも何かを感じ取ったように頷いた。

精霊たちの声を追いながら、二人は森の奥深くにある古い泉へと辿り着いた。そこでは、水の精霊が苦悶の表情を浮かべており、周囲の植物も枯れ始めていた。カイは慎重に精霊の前に膝をつき、心を通わせようと試みた。

「お願いします、あなたの怒りの理由を教えてください。私たちは和解を望んでいます」とカイが静かに話すと、水の精霊は悲しげな声で応えた。