第2話: 影の書庫
ミリアが薄暗い階段を降りていくと、目の前に広がるのは無数の本が並ぶ壮大な書庫だった。ここが、長年誰の目にも触れることなく隠されていた「影の書庫」であることを、彼女は直感的に理解した。壁一面に並ぶ書棚には、古びた革装丁の書物や、金箔で装飾された表紙の本が無造作に置かれていた。空気は古びて静かで、何世紀もの時間がここに凝縮されているかのようだった。
ミリアは恐る恐る最初の書棚に手を伸ばし、一冊の厚い本を取り出した。その瞬間、本から微かな光が放たれ、彼女は驚いて後ずさりした。しかし、その光は優しく彼女を包み込むようで、恐怖よりも好奇心が勝った。彼女はゆっくりとその本を開き、ページをめくり始めた。
ページからは古いインクの匂いが立ち上り、文字が浮かび上がり、彼女の目の前で言葉を形成した。「真の探求者よ、ようこそ。ここに秘された知識を解き放つ鍵は、内なる力を覚醒させることにある。」
その言葉を読んだ瞬間、ミリアの心の中で何かが響いた。彼女はこの場所に来るべきだったという確信と、未知への恐れが交錯する。さらに奥に進むと、彼女の祖父が書いたと思われるメモが挟まれた日記を発見した。日記には彼がこの書庫を訪れたこと、そしてここで何か重要な発見をしたことが記されていた。しかし、その詳細は曖昧で、何を発見したのか具体的には書かれていなかった。
