「沙耶、どうしたんだ?」
雄介の穏やかな声に、沙耶は一瞬戸惑ったようだったが、すぐに言葉を続けた。
「私…ずっと兄さんに謝りたかったの。今までのこと、本当にごめんなさい」
その言葉に、雄介は驚きを隠せなかった。彼女が自分に謝罪するなど、以前の彼らの関係からは想像もつかなかったことだ。沙耶は続けた。
「兄さんがあんなに強くなるなんて、私は思いもよらなかった。だから、ずっと兄さんを見下してきたことを、本当に後悔してるの。兄さんが魔法を失ったと聞いた時、私はもっと兄さんを理解しなきゃって思ったの」
雄介はその言葉に深い感動を覚えた。彼は沙耶の謝罪を受け入れると同時に、自分自身も彼女に謝罪する必要があると感じた。
「沙耶、俺もごめん。お前を敵視していたのは、俺の方だったんだ。お前が家族から愛されているのを見て、嫉妬していた。でも、今はわかる。お前のことを理解しようとしていなかったのは、俺自身だったんだ」


















