フローズン・マインド – 前編

極地への旅は長く、恐ろしく、孤独だった。ヨシダの心は恐怖と不安でいっぱいだったが、彼は自分を奮い立たせ、必要な準備を行い、救援隊の一員としての責務を果たすことに専念した。南極への道のりは困難であり、厳しい気候と孤独感が人間の精神を試す最も過酷な試練だった。

救援隊は苛酷な旅路を経て南極に到着し、消えた科学者たちが働いていた研究施設を見つけた。その建物は厳しい気候に耐えて立っていたが、その内部は恐ろしく静まりかえっていた。施設の中には、散らばった研究ノートや未完成の実験装置、そして日々の生活を営むための器具がそのまま残されていた。

ヨシダは、彼らの姿を探して施設内を巡った。しかし、見つけたのは彼らの居場所や日常の痕跡だけだった。心の中で恐怖と不安が渦巻き、手に汗を握るヨシダだったが、彼は強く心に誓った。彼らを見つけ出し、何が起こったのかを解明すると。



しかし、施設内を探索するうちに、ヨシダは次第に奇妙な感覚に襲われるようになった。まるで、自分が追い詰められ、孤独に苦しむ彼らの思考を感じ取るかのようだった。その感覚は次第に強くなり、彼の精神を蝕み始めた。彼はその感覚を「フローズン・マインド」と名付け、その中に深い恐怖を感じた。

施設内で発見した研究ノートからは、科学者たちが遭遇した困難や疲労、孤独感が詳細に記されていた。彼らは極限の状況下で生活し、研究を進めていた。しかし、ノートのページをめくるごとに、彼らの精神状態の悪化が明らかになっていった。記述は次第に支離滅裂になり、絶望と混乱に満ちた言葉が並んでいた。

ヨシダは、彼らが精神的に壊れていった過程を痛感した。自分自身がその恐怖と絶望を肌で感じていたからだ。彼は、彼らがどれほどの恐怖と孤独に耐えなければならなかったのかを理解し、彼らの絶望が自分の心に深く刻まれていくのを感じた。

「これが、フローズン・マインドか……」ヨシダはひとりつぶやいた。この絶望的な状況を乗り越え、彼らの謎を解き明かさなければならないと彼は強く決意した。その瞬間、彼の目の前に未知の恐怖が立ちはだかった。

前編 後編

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