最後のメッセージ – 第一幕: 不穏な手紙 後編

第4話: 古いアパートと初めての手がかり

カズキはアユミの最後の住所が記された古いアパートの前に立っていた。建物はかなり古く、ペンキが剥げ落ちた外壁には数年の時を経た痕跡が色濃く残っている。彼の胸の内は期待と不安で複雑に入り交じっていたが、何よりもアユミを見つけ出すという一心で、彼はその重い扉を押し開けた。

エントランスは暗く、わずかに灯る薄暗い電灯がかすかに照らすのみだった。カズキはアパートの管理人を見つけ、アユミのことを尋ねた。しかし、管理人は彼女のことをほとんど覚えておらず、新しい家族がその部屋に引っ越してきたことしか教えてくれなかった。

落胆しながらも、カズキはアユミの部屋があった階へと足を運んだ。新しい住人の家族は、初めは彼の質問に戸惑いを隠せない様子だったが、彼の真剣な眼差しとアユミへの深い懸念を感じ取り、少しずつ話し始めた。

「アユミさんが去ったとき、部屋から変な音がよく聞こえてきましたね。夜中にもかかわらず、どうも本をめくるような音と、つぶやくような声が…」新しい住人の母親が言葉を選びながら話した。

「部屋には、よくわからない古い本や奇妙なシンボルが残されていました。私たちがここに引っ越してくる前に掃除をしたとき、それらを見つけたんです。ただ、何のことだかさっぱりで…」

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