カズキはその情報に心を奮わせた。それらがアユミが何に囚われているのかの手がかりになるかもしれないと思ったからだ。彼はその古い本とシンボルの詳細をもっと知りたいと思い、新しい住人にそれらを見せてもらうことを頼んだ。しかし、新しい住人はそれらを既に処分してしまった後だという。
「でも、アユミさんがよく行っていた古本屋が近くにあるんですよ。そこなら、何か知っているかもしれませんね。」住人の父親が助言をくれた。
感謝の意を表し、カズキはその古本屋へ向かうことに決めた。彼はアユミがどのような本に興味を持っていたのか、そしてそれが彼女の現状にどう関連しているのかを探る必要があると感じていた。アユミの最後の住所から古本屋に向かう道すがら、彼は再びアユミと過ごした日々を思い返していた。あの頃は二人ともに未来に夢を持ち、可能性に満ち溢れていた。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
古本屋は小さくて古びた店構えで、店内には古びた本がぎっしりと詰まっていた。カズキは店主にアユミのことを尋ねたところ、彼女が最後に興味を示していたのは、古代の呪術に関する書籍だったという。これが彼女が「囚われている」と述べた謎に繋がるのかもしれないと、カズキは感じた。
店を出たカズキは、新たな決意を固めていた。アユミの行方を追い続け、彼女が何に囚われ、どうして助けを求めたのかの真実を解明するために、彼は何が何でもその謎を解き明かすと誓った。そして、その夜、カズキは次なる手がかりを求めてさらに奥深くへと足を踏み入れる準備を始めた。
第一幕：前編｜後編
