「ヨシオ、お前も何か感じるか?」カズキが小声で尋ねた。
「ああ、何かいるような気がする。気のせいかもしれないが、ずっと視線を感じるんだ。」
旧病院の入り口に辿り着いたとき、彼らの前にはさらなる不気味な光景が広がっていた。地面には複雑なシンボルが描かれており、その中心には古びた人形が無造作に放置されていた。その人形からは異様な冷気が感じられ、二人はその場所から強い不吉な予感を受けた。
「これは…何だ?儀式か何かか?」ヨシオが呟いた。
「可能性は高い。アユミがここに来た理由も、何かここに引き寄せられるようなものがあったのかもしれないな。」カズキが深く考え込む。
二人は恐れを抱きながらも、旧病院の内部へと踏み込んでいった。廃墟の中はさらに暗く、冷たい空気が彼らの周囲を包み込んでいた。壁からは剥がれ落ちたペンキが散乱し、床は破片で覆われていた。
「ここに何があるのか、見つけ出さないとな。」カズキがヨシオに向かって言った。
「そうだね。ただ、気をつけて進もう。この場所、ただ事ではない気がするから。」ヨシオが忠告する。
そうして、二人はアユミの足跡を辿りながら、旧病院の謎を解き明かすために、その奥深くへと進んでいった。次々と現れる超自然的な現象に心を乱されつつも、彼らは真実を求めて立ち向かう覚悟を固めていた。



















